転職に成功する人、失敗する人――どこに“違い”があるのか:新連載・金曜インタビュー劇場(藤原和博さん)(4/5 ページ)
景気の影響を受けて、転職の求人数は右肩上がり。「自分もそろそろ……」と思っている人もいるだろうが、“転職で成功する人、失敗する人”にはどのような“違い”があるのか。リクルートでフェローを務められ、その後、中学校の校長を務められた藤原和博さんに聞いた。
会社でさまざまな経験を積まなければいけない
藤原: 「いまの上司は自分の仕事を認めてくれない。ライバル会社から年収3割アップで来ないか? と誘われたので、そこに転職することを決めた」といった話を聞くと、その人はうまくいくだろうと思うかもしれません。でも、本当にそうでしょうか? 上司はその人を評価してくれなかったかもしれませんが、隣りの部署の先輩や次の上司はどうでしょうか? 高く評価してくれるかもしれません。
上司のことを批判して、自分にとって正解の企業はどこかにあるはずだ……といった“青い鳥症候群”に陥っている人は危険なんです。そういう人は、同じ業界を横滑りするかのように転職ばかりを繰り返す。私の知り合いの多くのヘッドハンターは同じことを言っています。「30代半ばまでは、同じ会社で5年間ほど経験を積まなければ、他の会社に転職してもなかなか通用しない」と。
1年、2年働いたくらいで「自分は仕事ができる」「この会社で学ぶことはもうない」といった理由で、転職するとどうなるか。履歴書に会社名を書いていくと、立派な企業名が並ぶかもしれません。それを見た人たちは「おー、この人はスゴいねえ」と思ってくれるかもしれません。
でも、あらゆる面で経験が不足してしまうんですよ。ひとつの会社で5年ほど働いていなければ、組織の動かし方をよく理解できないでしょう。働いている企業の業績がいいときには機嫌よく働いていて、ちょっと悪くなってしまうと転職してしまう。会社というのは、いいときもあれば悪いときもある。過去最高の決算が続くときがありますが、それが永遠に続くことはありません。必ず売り上げが伸び悩み、利益が減少するときがやってきます。会社によっては、倒産の危機に陥ることもあるでしょう。そうしたピンチのときの経験って、実は貴重なんですよ。逆境に立たされたときに人はどういった考え方をすればいいのか、どう対応をすればいいのか。1年、2年働いたくらいで、こうした経験を積むのは無理なんです。
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