東京モーターショーで見ても無駄なクルマは?:池田直渡「週刊モータージャーナル」(3/5 ページ)
今週末から「東京モーターショー」が開催。参加者の皆さんにぜひ見てもらいたいもの、見ても無駄なものをお伝えしたい。
メーカーの都合に付き合う必要はない
それでも燃料電池車や電気自動車が作られる理由は、米国カリフォルニア州の非現実的なゼロエミッション規制にある。この規制は、メーカーごとに乗用車と小型トラックの総販売台数の10パーセントをハイブリッドや、プラグインハイブリッド、電気自動車などのゼロエミッション車にすることを義務付けたものだった。ハイブリッドがゼロエミッションとみなされるのは少し違和感があるが、とりあえずそういうルールになっていたのだ。
しかし規制は年を追うごとに厳しくなっており、2012年にハイブリッドはゼロエミッション車から除外された。今のところプラグインハイブリッドはOKだが、遠からず同じ運命に遭う可能性は高い。加えて当初10パーセントだったゼロエミション車の比率も14パーセントに引き上げられ、2018年には18パーセントに再度引き上げられる。
この流れでいけば、ゆくゆくは、電気自動車と燃料電池しかゼロエミッションと認められなくなるだろうが、上述のように、どちらの方式もまだまだ実用性と安全性に問題を残している。米国人の理想主義をよく表しているとも言えるが、筆者はこれを見当はずれだと思っている。
環境性能に優れた最新のガソリン車と燃料電池車のエミッションの差をとやかく言うより、古いV8大排気量ユニットがかける環境負荷の方がはるかに高い。本気で大気汚染を心配するなら古いクルマを減らすしかないはずなのだ。
カリフォルニア州の特殊な押し付けによって、世界中のメーカーはどうしてもゼロエミッション車を作らなくてはならない都合があるのだ。そう考えると、規制のない日本で、わざわざ燃料電池車や電気自動車を買ってリスクを負うことはないと思う。もちろん意識高い系の人がそれを選ぶのを止めるつもりはないが、そういうメーカーの都合に付き合わされているということは知っていた方がいい。
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