連載
都営交通から全国へ広めたい“ヘルプマーク”に足りないこと:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(4/5 ページ)
東京都交通局が配布する“ヘルプマーク”の重要性が高まりそうだ。優先席の携帯電話使用が解禁されたからだ。内臓疾患など、外観では分からない不自由な人を示す“ヘルプマーク”は良いアイデアだ。全国の公共交通機関が採用すべきである。
“ヘルプしますよマーク”もほしい
ヘルプマークと同様の趣旨のキーホルダーやタグを配布する自治体や団体はいくつかある。その中で秀逸なアイデアは、Twitterをきっかけとして始まった“見えない障害バッジ”だ(関連リンク)。バッジには「当事者用」と「啓発用」の2種類がある。当事者用はヘルプマークとほぼ同じ。助けを必要としている人向け。啓発用は、この運動を理解している人の意思表示ができる。つまり「ヘルプしますよマーク」として使える。
このバッジを配布している「わたしのフクシ。」編集部からは次のようなメッセージをいただいた。
「見えない障害をもつ人は当事者同士でもやはり“見えない”ために、どうしても孤独になりがちだと、たくさんの人が言っています。無理解と無関心に囲まれる社会の中で、“少なくとも理解しようとする意思がある人”の存在は、それだけできっと応援団になれると思うのです」
東京都のヘルプマークは良い制度だ。しかし、その気づきや思いは「助けが必要な人」にしか届かない。“見えない障害バッジ”のように、啓発用の「ヘルプしますよマーク」も配布したい。色は青でどうだろう。私自身は緑色が好きだけど、安全マークと勘違いされても困る。思いやりは送り手と受け手がそろわないと成立しない。
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