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都営交通から全国へ広めたい“ヘルプマーク”に足りないこと:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(5/5 ページ)
東京都交通局が配布する“ヘルプマーク”の重要性が高まりそうだ。優先席の携帯電話使用が解禁されたからだ。内臓疾患など、外観では分からない不自由な人を示す“ヘルプマーク”は良いアイデアだ。全国の公共交通機関が採用すべきである。
濫用、悪用を恐れないで
マタニティマークについての議論はいくつか見聞きしている。「妊産婦ではない人が周囲への配慮を暗に求めている」とか「保護される権利を主張するために使われている」とか。水戸黄門の印籠のように、優先席でマークを突きつけて席を要求するなどの話もある。マークのせいで嫌な思いをする、趣旨を勘違いする。残念ながらそういう人は存在する。こうした人のせいで、マーク自体の信頼性、趣旨への誤解が生まれ、「必要だけど身に付けたくない」と思う人まで現れているらしい。
ヘルプマークも広まれば同様の残念な事例が起きるかもしれない。いや、前述の大手私鉄乗務員と乗客のトラブルのように、既に起きているようだ。都営交通以外の事業者でヘルプマークが普及しない理由もそこかもしれない。しかし、悪用者、濫用者、クレーマー……、考えようによっては、これらの人々も、外観では分からない「対人関係が不自由な人」であろう。つまりヘルプマークの対象者だ。そう思えば助けてあげて差し支えない。助ける側はだまされたと思うから悔しいのであって、助けてあげた、良いことをしたと満足できれば喜びとなる。
誰もが高齢になり、病気になる。ヘルプマークの本来の趣旨が善であるから、実施をためらう理由はない。
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