世界は“報復”するのか? 「13日の金曜日」に虎の尾を踏んだイスラム国:世界を読み解くニュース・サロン(3/5 ページ)
「フランス史上最悪」と言われる同時多発テロが発生した。テロが襲った11月13日の金曜日は「歴史的な転換点になる可能性」があり、フランスのオランド大統領はイスラム国への“報復”を断言した。今後の世界情報は……?
欧州諸国による協議の行方に注目
北大西洋条約第5条を行使するには何が必要になるのか。まず第4条に定められているように、加盟28カ国が議論を行う。そして今回の同時多発テロに対して、集団的自衛権を行使して対処すべきかが検討される。当面は欧州諸国による協議の行方に注目ということになる。
そして第5条の行使が決まれば国連にも話を通し、理想的には、国連安全保障理事会の賛同を得るのが望ましい。今回のテロでは、普段なら欧米の行動に拒否権を行使したがるロシアも中国も、すでにイスラム国を強く非難しており、拒否権行使の理由はなさそうだ。
すでにベルギーなど周辺国にも今回のテロ計画への関連性が指摘される中、米国も自国出身の被害者が出ているとして米FBI(米連邦捜査局)の捜査員をすでにフランスに送り込んでいる。米捜査・情報機関は、イラクや周辺の過激派組織や戦闘員に対して、イラク戦争当時からサイバー攻撃(ハッキングなど)を仕掛けて、電話だけでなく、電子メールやSMSといったデータのやり取りも気づかれないように監視している。そして特にこの半年ほどイラクやシリアでの諜報活動は非常にうまくいっていると聞く。
ちなみに監視しているならなぜテロリストをまとめて捕まえないのかと、ツッコミが来そうだが、例えばイスラム国の最高指導者であるアブバクル・バグダディは、電子機器を使えばサイバー攻撃によって自らの居場所がばれるという危険性を分かっている。それを警戒して、幹部らに会う際でも電子デバイスを使わせないよう徹底し、連絡も妻を使って行っているという。またその一方で暗号化された通信も駆使している。
逆に、米情報機関がハッキングしている幹部や戦闘員の中には、泳がされている者もいる。エジプトで墜落したロシア機も、米国(と英国)の諜報機関がイスラム国関係者の会話を盗聴したことで彼らの犯行であることが判明した。今回のテロでも、米国はおそらく貴重な情報をフランス当局に提供することになるだろう。
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