マニュアルを覚えてはいけない? 知られざる「航空整備士」のヒミツ:水曜インタビュー劇場(整備士公演)(6/7 ページ)
空港には飛行機の整備士がたくさんいるが、彼らはどんな仕事をしているのだろうか。JALの整備士に話を聞いたところ、それはそれはたくさんあって……。
ベテランと若手の“実力差”
土肥: でも、今の飛行機は違う。自己診断機能を搭載しているので、ベテランと若手の“実力差”が縮まっているのではないでしょうか。
小久保: おっしゃる通り、実力差は縮まっていますね。ただ、コンピュータの指示通りにやっても、直らない場合があるんですよ。
土肥: ど、どうするんですか?
小久保: そこでベテランの登場ですよ。
土肥: おお!
小久保: トラブルが発生したとき、コンピュータは電線を使ったり、光ファイバーを使って情報をやり取りしているんですよね。ただ、その情報を伝えている電線に何らかの不具合が生じていればどうなるのか。「電線のここが悪い」といった形で教えてくれないんです。例えば、電線と電線がつながっているコネクタ部分が接触不良を起こしているかもしれません。このようにコンピュータが教えてくれない原因を見つけ出す作業は、若手よりもベテランのほうが速くて的確ですね。
土肥: ふむふむ。ところで、整備マニュアルって膨大な量がありそうですが、何ページくらい?
小久保: うーん、何ページだったかな。マニュアルは覚えてはいけないからなあ。
土肥: ん? どういう意味でしょうか? マニュアルを覚えてはいけないって。覚えていれば、次に同じことをやるときにマニュアルが不要になるので仕事の効率がアップしますよ。
小久保: 航空機メーカーさんはWebサイト上で、マニュアルを常にアップデートしているので、仕事をするときには該当するページを開いて、プリントアウトしなければいけない。そして、現場では、その紙を見ながら作業しなければいけません。
もちろん、マニュアルを覚えれば作業は速くなるでしょう。「ここに書いてあることはこういう意味なんだ」と理解したうえで作業をすればスピードは増します。ただ、理解していてもマニュアルを確認しながら作業しなければいけません。
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