インタビュー
甲子園で準優勝した仙台育英の監督がグラウンドに顔を出さない理由:高校野球に学ぶ組織マネジメント論(4/4 ページ)
今年の夏の甲子園で準優勝を果たした仙台育英学園高校。部員100人を超すチームをまとめるために、どのようなチームマネジメントを実践しているのか、仙台育英野球部の佐々木順一朗監督に話を聞いた。
「優勝」することが目標ではない
選手主導のチーム運営や、数人のチームで取り組む勉強会。仙台育英野球部はチームの“雰囲気”を重視しているが、それはなぜなのか。
佐々木監督は「1人1人の能力は高いのに、雰囲気が悪い、仲が悪いというだけで勝つことができなかった代をたくさん見てきました。お互いを助け合えるチームは実力以上の力が出る。それは企業でも同じではないでしょうか」と語る。
ある程度の実力は大切だが、最終的には、夏を迎えるときのチームの雰囲気が大部分を決めるという。だからこそ、選手のキャラクターや、チームでの立ち位置、チームメイトからの評価などを考慮して18人のメンバー(予選は20人)を決める。
「“野球の実力が全て”みたいな指導ではチームが崩壊する。大事なのは、選手も監督もどうすれば最後にみんなで良い思いができるのかを考えること」
そう語る佐々木監督は、ベンチ入りすることができない多くの選手も含め「こいつ(このメンバーで)で負けるなら仕方がない」と“全員が納得のいく夏”にすることを毎年の目標にしている。
今回、東北勢悲願の夏の甲子園初優勝は果たせなかったが、佐々木監督にとって、そして、選手たちにとってはこの“納得感”が何よりも大切なのだ。
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