外国人観光客は増えているのに、日本が「テーマパーク戦争」に勝てないワケ:スピン経済の歩き方(1/6 ページ)
東アジアの「テーマパーク戦争」が激しさ増している。中国や韓国などで巨大施設が相次いで誕生する中、日本はどうやって戦っていくのか。勝ち目は……。
スピン経済の歩き方:
日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。
「情報操作」というと日本ではネガティブなイメージが強いが、ビジネスにおいて自社の商品やサービスの優位性を顧客や社会に伝えるのは当然だ。裏を返せばヒットしている商品や成功している企業は「スピン」がうまく機能をしている、と言えるのかもしれない。
そこで、本連載では私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」を紐解いていきたい。
東アジアの「テーマパーク戦争」が激しさ増している。
まず、“パクリーランド”でおなじみの中国に本家「ディズニーランド」ができる。千葉、香港に続くアジア3カ所目ということで白羽の矢がたったのは上海。開業前からかなり期待値が高く、中国国内だけではなく、東南アジアからの客も見込むのだという。一方、北京には日本で五輪が開催される2020年にはユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の2倍の広さを誇るユニバーサルスタジオができるという。
お隣・韓国もかなりイケイケだ。2年前に済州島にオープンしたハローキティアイランドが大盛況なことを受け、2018年に春川市にハローキティをモチーフにした観光施設ができるなんて報道がでている。近くにはレゴのテーマパークもできるらしく、近くで開催される平昌冬季五輪で増加する外国人観光客を念頭においた観光戦略の一環だということは容易に想像できる。
もちろん、中韓のこういう動きは、五輪が立て続けに東アジアで開催をするからだけではない。UNWTO(国連世界観光機関)の長期予想によると、2013年に10億8700万人になった国際観光客は2030年に18億人に膨れ上がるという。そのなかで最も激しい主戦場となるのが、経済成長著しいアジアである、とちゃんとUNWTOが予測をしているのだ。つまり、これからの世界は18億人をどれだけ自国に引っ張って、金を落とさせるのかという熾烈(しれつ)な争いになっていくわけだ。
こういう未来が見えるなかで、日本はどうかというと沖縄に自然をテーマにしたテーマパークをつくる話がもちあがっているほかはぶっちゃけ観光客招致の目玉になるようなプロジェクトはない(関連記事)。
いやいや、日本には「おもてなし」の心があるし、世界中から大絶賛される美しい自然と文化があるから、そんなガチャガチャした施設なんかつくんなくていーのよ、今年も10月ですでに過去最高の1600万人の外国人観光客がきてるじゃん、なんて声が聞こえてきそうだが、数だけを見ればそんな「横綱相撲」を気取れる立場ではない。
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