外国人観光客は増えているのに、日本が「テーマパーク戦争」に勝てないワケ:スピン経済の歩き方(2/6 ページ)
東アジアの「テーマパーク戦争」が激しさ増している。中国や韓国などで巨大施設が相次いで誕生する中、日本はどうやって戦っていくのか。勝ち目は……。
中国や韓国と比べると、日本はのんびり
このコラムでも何度か触れたが、このままガンガン伸びて仮に2000万の外国人観光客がきたとしても、中国の足元に及ばないどころか、タイ、香港、シンガポールのお尻がようやく見えてきたというレベルだ。しかも、やってくる客の大半は「爆買」の中国人。そこに韓国、台湾という隣国からのツアー客というのが実情だ。テーマパークをつくれば安心という単純な話でもないが、18億人を取るためになりふりかまわず「攻め」にでている中国や韓国と比べてのんびりし過ぎで不安になる。
それに拍車をかけるのが、国内メディアの論調だ。先週、テーマパークがアジアに乱立する動きを報じた「産経新聞」のこんな見出しが目に飛び込んだ。
『世界のテーマパークと肩を並べる千葉・船橋の公園』
テレビ番組などでも多く取り上げられたのでピンとくる方も多いだろう。今年5月、世界最大の旅行クチコミサイト「トリップアドバイザー」で、「アジアのアミューズメントパーク10位」「日本のアミューズメントパーク3位」にランクインを果たした千葉県船橋市の「ふなばしアンデルセン公園」のことだ。
記事中では、アンデルセン公園の魅力について触れるとともに、アジアランキングでシンガポールのユニバーサルスタジオや香港海洋公園という錚々(そうそう)たる面子のなかでかなり「異色」の存在として、「観光客を引きつける魅力は、豪華さだけではないようだ」と分析をしている。
別に記事にケチをつけるわけではないのだが、これでは読む人に誤解を与えてしまう。アンデルセン公園は確かに魅力ある公園ではあるのだが、インドを代表するテーマパーク「ワンダーラ・アミューズメントパーク」(8位)や130万人が訪れるイベント「ハルビン氷雪大世界」(9位)と同じ感覚で人々が足を運ぶような「観光スポット」ではない。というのも、実はアンデルセン公園の高評価といのは「公園不足」という日本の特殊事情によるところが大きいからだ。
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