変化のスピードが速い中で、会社をどのように変えたのか――LINE元CEO・森川亮氏(2/5 ページ)
「変化のスピードが速くてついていけない」といった悩みを抱えているビジネスパーソンも多いのでは。そんな人に、LINEで社長として活躍し、現在はC Channelで社長を務めている森川亮さんの話を紹介しよう。
変化しなければいけないけど、変われない
しかし、多くの日本人は「変化」をものすごく嫌うんですよね。頭で「変化することは大切だ」ということは分かっているのですが、「じゃあ、あなたはそのために何をするのですか?」と聞くと、何もできない。なぜそうした傾向があるかというと、日本の歴史が関係しているからではないでしょうか。
他の国は大きく変化しているのに、日本はあまり変化してこなかった。日本にあるさまざまなことわざの中で「変わったほうがいい」という意味はほとんどありません。むしろ「変わってはいけない」ということわざばかり。小さいころに、周囲の大人から「コロコロ変わっちゃダメよ」と言われ続けていたせいか、「いま変わらなきゃいけないんだけど、なぜか変われない」「変わることに違和感がある」という人が多いのではないでしょうか。
一方、世界ではさまざまな戦争がありました。そうした歴史を経験しているので、変わらなきゃ生き残れない――といったことわざが多い。このことは世界と日本との大きな違いではないでしょうか。変化しなければいけないけど、変われない――。この課題をどう解決しなければいけないのか。これが僕の大きな課題でした。
変化が大きかった時代といえば、やはり「氷河期」でしょう。このときに、恐竜が滅び、哺乳類が生き残った最大の理由は「強いから」「賢いから」ではなくて、「変われたから」。変化の激しい時代の中で、会社が有名であって、優秀な社員がたくさんいて、お金がたくさんあって、他社にはない技術があっても、いまの事業を壊してでも次に行くという意思決定をしなければ、生き残っていくのは難しいのではないでしょうか。
これは会社だけでなく、個人でも同じ。いい大学を卒業して、資格を取得して、お金をたくさん手にしても、無駄なことをやっていると生き残ることは難しい。そういう時代になってきたのではないでしょうか。
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