変化のスピードが速い中で、会社をどのように変えたのか――LINE元CEO・森川亮氏(3/5 ページ)
「変化のスピードが速くてついていけない」といった悩みを抱えているビジネスパーソンも多いのでは。そんな人に、LINEで社長として活躍し、現在はC Channelで社長を務めている森川亮さんの話を紹介しよう。
仕事を磨く人と、創る人にわけた
ゲームの事業が成功して、僕が社長になったときに何が起きたのか。最初は雑居ビルで働いていました。やがてオフィスビルに移転して、利益率がアップして、福利厚生もよくなりました。そうすると結婚をする人が増え、長期休暇を取得をする人が増えてきました。結果、どのようなことが起きたのか。仕事をあまりしなくなってしまったんですよ。もちろん、個人の幸せを否定するわけではありませんが、やがてお客さんの満足度が低下して、売り上げが減少して、イノベーションが起こらなくなりました。
会社というのは、ヒット商品を生み出し続けなければ、潰れてしまう。いま、商品のライフサイクルが短くなって、ちょっと成功してもすぐに陳腐化してしまうので、常に新しい価値を生み出さなければいけません。今のモノから1.1とか1.2とかではなくて、2.0とか3.0のモノを生み出さなければ、すぐに追いつかれてしまうんですよね。
人間も同じ。1.0から1.1とか1.2ではなくて、2.0とか3.0になってもらわなければ国際競争力に勝てません。そのために何をやったかというと、全社員の給与をリセットしました。いきなり下げたわけではありませんが、お客さまに価値を提供している人が一番多くの給料をもらう仕組みにしました。それまでは、過去に実績を残した人が課長になり、部長になり、役員になっていました。そこも大きく変更しました。
ポジションとお金って、実はあまり関係ないんですよね。上司というのは、部下をリードする役割であって、その上司よりも部下のほうがが価値を出していれば給与はその人がたくさんもらえるという仕組みにしました。
具体的にどんなことをやったのか。日本人は細かくコツコツ磨き上げる仕事が好きですよね。何かをやるとそればかりやって。それをやっても売り上げは3倍、4倍にはならないことが分かっていても、そこに集中する。そこで、仕事を磨く人と、創る人にわけました。そして磨く部分については中国でやることにしました。日本人の人件費は高いので、新しい価値を生みだす人だけ残すことにしました。
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