えっ、完売したらいけない? コンビニの物流がスゴくなった理由:コンビニ探偵! 調査報告書(4/5 ページ)
読者のみなさんは、コンビニに商品が入る時間をご存じだろうか。多くは深夜だが、消費期限の短い弁当やおにぎりなどは1日3回に分けて納品される。実は、これにはいくつかの「思い」があったのだ。
コンビニは効率を求めてきたビジネス
話がズレたのでもとに戻そう。コンビニは効率を求めてきたビジネスである。
「弁当をおいしくしたい」という思いで配送回数を増やした経緯はあるが、店舗だけでなく本部も、配送回数は減らしたほうが良いと考えている。配送回数を減らせば、コスト削減につながるからだ。
あるチェーン間では、配送コストを減らすために共通商品を作り、チェーンが別なのにもかかわらず、同じトラックを利用している。今や配送はチェーンの枠組みをも越えて仕組まれているのだ。これらの配送拠点は運営上の観点からだけではなく、店舗の出店計画、ドミナント化の観点からも重要な意味を持つ。
ファミリーマート、ローソンが47都道府県出店を完了している現在でも、セブン-イレブンはいまだにコンプリートしていない。コンビニの“王者”は「陣地取り」ではなく、物流と店舗のバランスを重要視していると筆者は考えている。未出店地域への店舗立ち上げは決して難しいことではないが、物流拠点を作らずに出店を進めると効率が悪くなるからだ。
セブン-イレブンは、ある一定数の店舗出店計画がまとまるまではその地域に出店をしないとしている。それは、新規出店地域の展開状況を見れば分かる。秋田県出店の様子がWebサイトに掲載されている。
セブン-イレブン・ジャパンは、2012年5月31日(木)、秋田県内にセブン-イレブンを3店舗同時にオープンいたしました。(中略)
2013年の春には、秋田市内への出店も予定しており、秋田県のみならず、東北地区全体のさらなる効率化を図りながら、2014年度(2015年2月末)までに秋田県内へ累計約100店舗の出店を目指してまいります。(同社Webサイトより)
セブン-イレブンは、2012年5月に3店舗を同時にオープンしてわずか3年弱で、100店舗出店の計画を立てている。ちなみに、2015年10月末での秋田県出店数は71店と、計画は未達成。しかし、筆者はかつて、関係者から「物流拠点維持の最低ラインは50店前後」であると聞いたことがある。目標の100店が未達成だからといって、問題視するレベルではないということだ。
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