連載
なぜ大学のポスターは「世界にはばたき」「未来を拓く」ばかりなのか:こだわりバカ(4/6 ページ)
「ここに集い、世界に旅立つ」「ともに学び、探求し、共に世界を切り拓く大学」――。大学のスローガンは、なぜ手垢がついた表現ばかりなのか。自称「大学コピーコレクター」の川上徹也氏が分析したところ……。
言葉を強くする3カ条
言葉を空気化させないためには、普段から意識して「強い言葉」を使う習慣を身につける必要がある。そう、言葉には強い・弱いがあるのだ。「強い言葉」とは、「印象に残る」「心に刺さる」「行動したくなる」ような言葉である。「弱い言葉」とは、「手垢がついた」「ありきたりな」「心が動かない」ような言葉だ。
残念ながら、具体的にこの言葉を使えば必ず強くなるというような魔法の言葉は存在しない。言葉の強い弱いは、使われる場面によって大きく変わるからだ。ある場面では強い言葉が、ある場面では弱くなることも珍しくない。
例えば、ダイエット本などの実用書などでよく使われる「魔法の」「奇跡の」というような言葉。本のタイトルとしては「強い言葉」になることも多いが、例えばビジネスの現場では「信用できない」「怪しい」と思われてしまう。「弱い言葉」になってしまうのだ。大学のスローガンでも同じだ。「魔法の大学」がスローガンの大学では、目立ちはしても誰も本気で行きたいとは思わないだろう。
このように場面によって言葉の強い弱いは変わってくるが、最低限以下の3つのポイントを注意だけでも言葉が強くなる可能性が高まる。
言葉を強くするための3カ条
(1)決まり文句を避け、できるだけ具体的に書く。
(2)言葉の化学反応を考える。
(3)圧縮して言い切る。
関連記事
- 「こだわりの○○」という言葉を使う店は、何もこだわっていない(絶対に)
街中に「こだわり」という言葉があふれている。「こだわりラーメン」「こだわり旅行」「こだわり葬儀」など。このようなこだわりのない使われ方に、コピーライターの川上徹也氏が燃えている。こだわりの原稿を読んでみたところ……。 - “納豆不毛地帯”の大阪で、なぜ小さな店の納豆がヒットしたのか
「関西人は納豆が嫌い」と言われている中で、大阪の東部にある大東市で注目されている納豆メーカーがある。その名は「小金屋食品」。従業員数が10人も満たない小さな会社が、なぜウケているのだろうか。 - 最初は売れなかった? これまで語られなかった「じゃがりこ」の裏話
「じゃがりこ」といえば、カリカリ・サクサクした独特の食感が特徴だ。カルビーが1995年に発売して以来、ロングセラー商品となっているが、開発秘話はあまり知られていない。開発に携わった担当者が多くを語らなかったからだが、18年経った今、当時の裏話を打ち明けてくれた。 - ジャポニカ学習帳の表紙から「昆虫」が消えた、本当の理由
ジャポニカ学習帳の表紙といえば、「昆虫」の写真を思い浮かべる人も多いだろうが、数年前に昆虫が消えた。教師や保護者から「昆虫が気持ち悪いから変えてほしい」といった要望があって、発売元のショウワノートが削除したというが、本当にそうなのか?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.