テレビは苦戦しているのに、なぜWOWOWは過去最高なのか:水曜インタビュー劇場(有料テレビ公演)(1/6 ページ)
テレビ局の厳しい戦いが続いている。視聴率が低迷し、広告費が落ち込む……。そんな状況の中で、有料放送「WOWOW」が好調だ。加入件数は過去最高を突破し、大台の300万件も近づいてきた。その要因について、同社の担当者に聞いた。
「娯楽の王者」テレビ局が苦戦している。視聴率が低迷して、広告費が落ち込んで、番組製作費を削って……といった感じで負のスパイラルにはまり込んでいるのだ。
もちろん、すべての局がそういうわけではない。こんな話をすると、「ははーん。バラエティが好調なテレビ東京のネタでしょ」と思われたかもしれないが、違う。「ということは、動画配信のネットフリックスがやって来たので、テレビ局が厳しくなるという話でしょ」と感じられたかもしれないが、これも違う。
今回、ご紹介したいのは「WOWOW」である。有料の加入件数が増えていて、2015年8月に過去最高の280万6501人を達成。その後も高止まりが続いていて、このままの勢いでいけば、大台の300万人突破も夢ではなくなってきたのだ。
なぜ、このタイミングでWOWOWが好調なの? その謎を解く前に、同社のことを簡単にご紹介しよう。WOWOWは日本初の民間衛星放送局として、1991年に開局。2000年のデジタル放送開始を経て、2011年にはフルハイビジョン・3チャンネルの放送をスタートした。民放ではあまり放送されないスポーツや生ライブなどを楽しむことができるが、とはいえ月々の視聴料は2300円(税別)。「そこ、そこなんだよ。物価は上昇していて家計は苦しいし、政府が『スマホの料金をなんとかしなきゃいかん』といっているのになかなか下がらない中で、なぜ加入件数が伸びているの?」という質問が飛んできそうだが、もう少し待っていただきたい。
加入件数は開局以来、ずーっと伸びているわけではない。スタートしてから10年ほどは順調に伸びてきたが、2001年度をピークに、その後は低迷が続いた。3チャンネルになれば加入件数は爆発的に増えるぞーと思いきや、ふたを開けてみれば微増。その後も「ああでもない、こうでもない」とさまざまな施策を試したものの、10年ほど結果がでない中、ここ1〜2年で急速に伸び始めたのだ。
好調の背景に一体何があったのか。同社・宣伝部長の石垣裕之さんに話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンライン編集部の土肥義則。
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