テレビは苦戦しているのに、なぜWOWOWは過去最高なのか:水曜インタビュー劇場(有料テレビ公演)(2/6 ページ)
テレビ局の厳しい戦いが続いている。視聴率が低迷し、広告費が落ち込む……。そんな状況の中で、有料放送「WOWOW」が好調だ。加入件数は過去最高を突破し、大台の300万件も近づいてきた。その要因について、同社の担当者に聞いた。
テニス、ドラマなどが好調
土肥: WOWOWの加入件数が2013年あたりからぐーんと伸びていますよね。今年の8月に13年ぶりに過去最高を更新して、大台の300万件突破も見えてきました。テレビ局の苦戦が伝えられている中で、なぜWOWOWは好調なのでしょうか?
石垣: 以前は1チャネルでしたが、2011年に10月に3チャンネルになりました。3チャンネルになるので、社内からは「加入件数が大幅に伸びるはず」と期待していたのですが、あまり増えませんでした。また、大震災が起きたので「WOWOWの契約を継続することができない」という声もたくさんありました。
土肥: 解約が増えたわけですね。
石垣: はい。「このままではいけない。どうにかしなければ……」ということで、さまざまな施策を打って出たのですが、結果はなかなかでませんでした。そうこうしているうちに、2014年はテニスの錦織圭選手、ドラマ『MOZU』などを見たいという人が増え、純増で10万8000件も伸びました。開局してから10年ほどはかなり増えましたが、低迷してからこれほど伸びたのは初めてだったんですよ。
土肥: その勢いがまだ続いている、といった感じですか?
石垣: コンテンツによる影響はものすごく大きいのですが、それだけではありません。先ほど「さまざまな施策を打って出て……」と言いましたが、その中のひとつに「宣伝費の見直し」があるんですよ。
当社のビジネスを大雑把に言えば、お客さまが「加入」するか「解約」するか。そこで、どのようにしたら加入が増えるのか、どのようにしたら解約が減るのか、といった分析を行いました。投資(宣伝費)を池に例えると、どの石(メディア)とどの石を投げたら、その波形が最大になるのか。逆に、どの石とどの石を投げたら、その波形が最小になるのかを分析しました。波形が大きくなればなるほど加入数が増え、波形が小さくなればなるほど解約数が減るという意味です。
土肥: 結果はどうだったのでしょうか?
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