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安っぽいコンビニの「おせち」が、高級路線に転換できた理由:コンビニ探偵! 調査報告書(4/5 ページ)
かつて、安っぽかったコンビニのおせちが、ここ数年で一気に高級路線に転換しているのをご存じだろうか。今回は、コンビニおせちの販売戦略と商品展開について調査した。
おせちは「ドル箱」
では、おせち1つでどれぐらいの売り上げになるのだろうか。セブン-イレブンによると、おせちの2014年販売実績は27万個とある(参照リンク:セブン-イレブンのおせち)。これを全国平均にすると、1店舗当たりの販売数は15個前後。おせち1つを2万円とした場合、30万円の売り上げとなる。この売り上げが店舗・コンビニ本部にとってどれぐらい「オイシイ」のか考えてみよう。
ご存じのとおり、コンビニでは頻繁に「おにぎり100円セール」をやっている。店にもよるが、この100円セールでおにぎりの販売数は100個前後増える。2万円のおせちを100円のおにぎりに換算すると200個の売り上げに相当する。利益率が違うので単純計算はできないが、おせちが1つ売れるたびにおにぎりの販売数が200個ずつ増えたと考えると、オーナーとしては万々歳だ。
本部にとっては、もっと「ウハウハ」だ。各店舗におせちの販売が1つ増えただけで、200個×1万数店舗分のおにぎり販売数の増加と変わらない効果が得られるのだから。
先にデメリットとして挙げたネット販売だが、もちろん全てが「スカスカおせち」ではない。真摯(しんし)に商売をしているところがほとんどだろう。市場規模600億円ともいわれるおせちだが、けん引している1つのファクターとしてネット販売があり、そこにコンビニが参入したことで一気に拡大した。この流れはしばらく続くのではないだろうか。
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