鉄道趣味系クラウドファンディング、成功の決め手は?:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(2/5 ページ)
クラウドファンディングは小規模な資金調達方法として定着した感がある。しかし、必ず成立するとは限らない。鉄道趣味系の案件から成功例と失敗例を考察した。
鉄道系クラウドファンディングは流行ったか?
クラウドファンディングは、募集した目標金額を達成すれば成立、達成しなければ不成立だ。集めた金額はいったんファンド運営会社が預かり、成立すれば手数料を差し引いて立案者に渡し、不成立なら参加者に返金される。返金に関しては、クレジットカード決済の場合は募集時点で「決済予約」扱いとなっており、予約が実行されない。銀行振り込みの場合は指定した口座に振り込まれる。返金振込手数料は、国内大手のREADYFORとMakuakeはどちらも運営会社負担である。
参加者から返金手数料は取らないとなると、プロジェクト不成立の場合は運営会社の丸損ではないか。READYFORに問い合わせたところ、まったくその通りだという。しかし実際の銀行振り込み参加者は少ないため、サポートサービスの許容範囲のようだ。
私は前掲の記事で、「鉄道産業遺産の保存活動や鉄道趣味の新しい形として、クラウドファンディングという手法が定着するかもしれない」と書いた。では、実際にどのような企画があったか、READYFORとMakuakeを調べてみた。それぞれのサイトの案件を、「鉄道」「駅」「列車」などのキーワードで検索した。その結果から、鉄道趣味に関連の強い案件を拾っている。除外した例は「○○駅の近く」「鉄道会社がかかわった食品」などだ。
目標金額順で挙げた16件のうち、成功は10件。失敗は6件。成功率は6割。ただし成功率は失敗案件の選択次第で変化するから参考にならない。案件の内容をみると「鉄道産業遺産の保存活動」は5件あった。公園に安置した蒸気機関車から保存鉄道まで、全国に鉄道遺産は無数にある。その中の5件だから、クラウドファンディングが定着したとは言えない。資金援助を要するほど困っていないかもしれない。しかし、朽ち果てていく車両もあるから「市の公園に展示中の蒸気機関車をきれいにし、動くまでに復元したい!」の成功例は参考になりそうだ。もっと積極的にクラウドファンディングを使ってほしい。
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