日本の女性活躍に向けた5つの優先施策とは?(5/6 ページ)
日本企業で女性の就労を男性と同じ水準へと増やすだけで、GDPが最低でも9%増加すると言われている。いかにして女性の活躍の場を創出するべきか。5つの優先施策を紹介したい。
多様性確立のための5つの優先施策
我々は、役員・部長クラスの日本人の女性たちにインタビューし、彼女達の経験と、より多くの女性が活躍するために何をすべきかを尋ねた。これらのインタビューの結果、女性が活躍できる環境を整えるための、5つの優先施策の分野が特定された。
これらの優先施策は企業のとるべき施策である。なぜなら日本企業の多くは、本来あるべき姿から遠い上に、職場こそが、女性が輝くべき現場そのものだからである。
とはいえ、日本企業でも第一歩を踏み出している事例はいくつもある。例えば、ユニクロを傘下に持つ株式会社ファーストリテイリングは、完全実力主義や世界同一賃金を導入し、上の職位になればなるほど高い成果を求める一方、長時間労働を是正するべく本部で週4日のノー残業デーを設定している。
また、パナソニックやサントリーホールディングスなど、フレキシブルな勤務時間や在宅勤務制度を整える大企業も増えている。また、サイバーエージェント、DeNA、スタートトゥデイ、楽天など、急成長している日本企業は、中途採用の人材を惹きつけることでその成長を支えてきた。多様な人材が活躍できるかどうかは、企業自身がその人材の潜在能力を活用するための意志と能力がある場合に限られている。
以下に、日本企業が、組織内の多様性と柔軟性を向上させるために必要な施策分野のうち、優先順位の高いものを提言する。
既に指摘したように、将来的な成長のためには、これらを重大な戦略的命題として取り組んでいかねばならない。女性が活躍する企業は、グローバル化した市場で成功するために不可欠な多様性、柔軟性を兼ね備え、成長に向けて最適な人材が存分に活躍しうる環境を整えた企業であるとも言うことができるだろう。
経営トップのリーダーシップ
経営トップ、特に社長、CEO自身が、なぜ女性が活躍するべきかを明確に説明し、その目標を確実に実現していくことをコミット(確約)しなければ、変革が起きる可能性は低い。経営トップは、より多くの女性を重要な役割に登用するだけでなく成功事例を広く伝えなければならない。また、幅広く各階層の社員に、最終目標は多様かつ柔軟な組織への変革で、長期的戦略的課題の重要な礎だと明確に説明しなければならない。また、宣言した目標の実現に向けては、十分な人員と資金を割り当てるなど具体的な取り組みを進め、より確実に結果を出すため、進捗状況をモニタリングするべきである。
例えば、日産自動車株式会社のカルロス・ゴーンCEOは、日産の組織的な均質性、硬直性を打破するためにより多くの女性管理職が必要との認識から、2003年からダイバーシティを組織的に推進し、2012年までに同社における女性管理職の数は4倍に増えた。その際、ゴーンCEOはダイバーシティ推進のための仕組み構築を任務とする、独立した常設の推進組織を設置した。取り組みの一環として、人脈作りやコミュニケーションの機会が提供されるとともに、組織全体に多様性のあるマインドセットを醸成するためのプログラムも実施された。
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