スターウォーズ・ボイコット運動から見える米国の現実(ネタバレなし):世界を読み解くニュース・サロン(1/5 ページ)
映画『スターウォーズ/フォースの覚醒』が大ヒットしている。米国では公開初日だけで約5700万ドルの興行収入を記録しているが、ちょっと気になる話題が盛り上がっている。それは「映画をボイコットしよう」という動きだ。
世界を読み解くニュース・サロン:
今知るべき国際情勢ニュースをピックアップし、少し斜めから分かりやすく解説。国際情勢などというと堅苦しく遠い世界の出来事という印象があるが、ますますグローバル化する世界では、外交から政治、スポーツやエンタメまでが複雑に絡み合い、日本をも巻き込んだ世界秩序を形成している。
欧州ではかつて知的な社交場を“サロン”と呼んだが、これを読めば国際ニュースを読み解くためのさまざまな側面が見えて来るサロン的なコラムを目指す。
今世界中のSFファンを魅了しているものといえば、間違いなく映画『スターウォーズ/フォースの覚醒』だろう。
シリーズ第7作目となる今回の作品では、10年ぶりの新作ということもあり、公開が始まった12月17日だけで米国では約5700万ドル(約69億円)の興行収入を記録している。世界同時公開ということもあり、英国、オーストラリア、ブラジル、ドイツなどで初日の興行収入記録を更新した。今後、世界第2の映画市場である中国では1月9日に、インドやギリシャでは12月24日に公開される予定で、世界的にまだまだ快進撃は続きそうだ。
実は、そんなスターウォーズの盛り上がりに水を差すようなキャンペーンが、公開前から米国でまことしやかに話題になっている。SNS(ソーシャルネットワーク)を中心に、スターウォーズをボイコットしようというキャンペーンが行われているのである。世界が待ち望んでいたエンターテインメント超大作の『スターウォーズ』をボイコットするとは穏やかではないが、一体どんな問題があるというのか。
その背景には、米国に根深くある人種差別の問題がある。特に最近になって、米国人は再び、人種問題に敏感に反応するようになっており、その傾向がスターウォーズの最新作にも飛び火しているのだ。スターウォーズ批判からは、米国に深く染み付いた人種をめぐる病巣が見えてくる。
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