スターウォーズ・ボイコット運動から見える米国の現実(ネタバレなし):世界を読み解くニュース・サロン(2/5 ページ)
映画『スターウォーズ/フォースの覚醒』が大ヒットしている。米国では公開初日だけで約5700万ドルの興行収入を記録しているが、ちょっと気になる話題が盛り上がっている。それは「映画をボイコットしよう」という動きだ。
ボイコットキャンペーン名は「#BoycottStarWarsVII」
このボイコットキャンペーンは、「#BoycottStarWarsVII」と呼ばれる。ハッシュタグが付けられたオンライン上でのキャンペーンは、同作品の予告編が公開される直前の10月18日ごろからTwitterで拡散され始めて話題になった。
では一体、『スターウォーズ/フォースの覚醒』の何が人種差別なのか。
今回の最新作では、英雄的な主人公の1人を黒人俳優のジョン・ボイエガが演じる。スターウォーズシリーズで黒人がメインキャラクターとして出演するのは今回が初めてのことだ。これが白人を中心に展開してきたスターウォーズに「人種多様化」「非白人化」をもたらし、もっと言えば、白人への人種差別に当たるというのだ。さらに別のメインキャラクターを演じる米俳優のオスカー・アイザックもグアテマラ生まれのラティーノ(中南米系)であり、これもその差別を後押ししているという。
さらに今作品では、いわゆる正義側(映画内では、レジスタンス)が白人中心の集団ではなく人種が混じった構成になっている。そして悪役側(ファースト・オーダー)に白人が多い。実際に、さまざまな人種VS. 白人という印象になっている。こうした事実からも、この作品が白人に対する差別であると批判されているのである(ちなみにハリウッドを仕切ってる人たちは9割以上が白人である)。
批判の背景には監督の存在もある。監督のJ・J・エイブラムスがユダヤ系であることから、ネット上では彼を「アンチ白人野郎」と呼ぶ者が現れ、この作品が「反白人」を促すプロパガンダであるとする批判も噴出した(米国ではユダヤ系は無条件に白人とは言えない)。また「反白人のユダヤ人が人種を混ぜようとするプロパガンダは支持するな」や「黒人がルークのライトセーバーを持って何してんだ?」というツイートも見られた。作品のタイトルにかけて「人種ウォーズ/欧州の覚醒」とツイートする人や、この映画が結果的に「白人の大量虐殺」の片棒を担ぐと仰々しく書いている者もいた。
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