スターウォーズ・ボイコット運動から見える米国の現実(ネタバレなし):世界を読み解くニュース・サロン(3/5 ページ)
映画『スターウォーズ/フォースの覚醒』が大ヒットしている。米国では公開初日だけで約5700万ドルの興行収入を記録しているが、ちょっと気になる話題が盛り上がっている。それは「映画をボイコットしよう」という動きだ。
冷静に反論している人たちは多い
ある米国人映画評論家は「そもそもスターウォーズは多様化の素地はない」と書いている。事実、オリジナルのスターウォーズは出演者の多くが白人であり、スターウォーズ第1作目の試写を見たジョージ・ルーカスの友人でホラー映画監督のジョン・ランディスは、「ジョージ、宇宙には白人しかいないのか?」と尋ねたとの逸話が残っている。
そもそも白人がベースの作品だけに、黒人が登場することでこうした反応が出ているということなのだろうが、差別の根拠があまりに強引で、非白人から見たら、ツイート自体が差別発言そのものである。感情的な批判意見は、もはや熱狂的なスターウォーズファンが可愛さ余って過激化した、というような次元ではない。
一方のエイブラムス監督はこうした批判を意識してか、予告編が解禁される当日、「あなたが黒人でも白人でもラティーノ(中南米系)でも、(スターウォーズの登場キャラクターである)ジャワやウーキー、ジェダイやシスでも気にしないよ。気に入ってもらえるとうれしい!」とツイートした。実はエイブラムスはキャストなどが発表されていた2015年7月にも、白人ではないさまざまな人種を登場させることについてこう説明している。「映画の中で人々は自分を投影できることが重要だと思うからさ」。多くの人に楽しんでもらう(またビジネス的にも成功する)のにはそういう意識も大事だということのようだ。
例えば日本人ならこんなことは誰も気にしないのではないか。同作品に「アジア人の主人公が登場しない」と怒り、ボイコットを声高に叫ぶなんてこともないだろう。
もちろんこうした騒動に、米国でも冷静に反論している人たちは多い。オリジナルシリーズでダースベーダーの声は黒人俳優のジェームズ・アール・ジョーンズが担当していると真っ当に批判する声や、生みの親であるジョージ・ルーカス監督の妻は黒人だとツイートする人もいた。また皮肉たっぷりに「黒人よって生みだされた文化(音楽など)を白人は悪用しているのだから、白人文化の悪用を祝おう」というものや、「(スターウォーズに登場する独特なキャラクターである)ウーキーやイウォークやドロイドはいいけど、なんで黒人は問題なわけ?」とツイートする人も。
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