タレントマネジメントを実践する企業の実情(5/6 ページ)
タレントマネジメントを導入する企業が増えつつあるが、具体的にどのように活用しているのか。インテリジェンスHITO総合研究所の渕田任隆氏に話を聞いた。
効果的なタレントマネジメントを導入するために、まず「WHY」を考える
――これまでは、タレントマネジメントの成功例についてうかがいましたが、一方でタレントマネジメントがうまく進まない企業の共通点などはありますでしょうか。タレントマネジメント導入のポイントについて教えてください。
渕田氏: タレントマネジメントが進まない理由のひとつが、そもそも「求める人材が変化している」ということに、企業が気付いていないということです。タレントマネジメントを導入するか否かは別にして、環境の変化が激しい中で競争を勝ち抜いていく上で、求める人材が変化しているということを認識していないのです。
またその変化に気が付いていないがために、人材採用制度や人材育成制度も変えていかなければならないということを認識できないままでいます。必要なのは、タレントマネジメントに対する自社なりの考え方を整理して固めていくことであり、「タレントマネジメント」という言葉に左右されないことなのではないでしょうか。加えて、タレントマネジメントがうまく進んでいない企業は、その出発点が誤っている場合もあります。
タレントマネジメントを導入する上で最も重要なのは「なぜそれを導入するのか」というWHYの部分であり、その上で「誰にフォーカスするのか」「どのような人材を求めているのか」「タレントマネジメントで目指す姿は」「どのような育成をしていくのか」「育成責任は誰が負うのか」「採用で何を変えるのか」――こうしたテーマを議論していくのが良いのではないかと思います。
「タレントマネジメント」というと、その方法論(HOW)を議論してしまうケースが多いのですが、実はそれを導入する理由や目的を議論しなければ、「本当にその方法論が必要か」ということが分かってきません。議論の結果、タレントマネジメントは必要ないという結論があってもおかしくありません。逆にWHYが明確になれば、その先に必要なことも見えてくるのではないでしょうか。意外と思われるかもしれませんが、このシンプルな思考プロセスを経ていない企業のケースも多いのです。
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