アイリスオーヤマが目指す“次の家電戦略”(1/4 ページ)
2009年に家電分野に参入した生活用品大手のアイリスオーヤマ。シャープやパナソニックを辞めた技術者を積極的に採用し、大手家電メーカーの後を追いかけ始めた同社だが、昨年後半から、家電づくりに対する姿勢の変化が起き始めている。
プラスチック製品などの生活用品製造で知られるアイリスオーヤマが家電事業に参入したのは、2009年のこと。ヘッドの裏に毛をかき取るためのエチケットブラシを付けた「超吸引毛取りヘッド」を搭載した掃除機を発売し、回転ブラシに絡まる髪の毛やペットの毛などのお手入れに困っていた人たちに評判となり、安価な価格設定もあって人気を呼んだ。その後も値ごろ感のある価格の同社の家電は売り上げを伸ばし、2014年の家電部門の売り上げは421億円となっている。
立ち上げ当初はほんの数人の自社社員から始まった家電の開発だが、パナソニックやシャープなど大手家電メーカーの退職者を積極的に採用することで、家電の技術が蓄積され、開発のスピードも一気に短縮され、ヒット商品も生まれるようになった。
2013年には大阪に家電の開発拠点となる「大阪R&Dセンター」を開設。現在は商品開発や品質管理などを担当する30名が在籍するが、そのうち27名が家電メーカー出身者だという。シャープの希望退職者を見込んで、2016年末までに100人規模にする方針とも言われており、技術者の流出に注目が集まっている。
大手家電メーカーの二の舞になりかねない「多機能家電」も
そんなアイリスオーヤマのヒット商品となった家電の1つに2014年に発売された「ノンフライ熱風オーブン」がある。前年、オランダに本社を置くフィリップスの調理家電「ノンフライヤー」で一躍脚光を浴びた熱風循環によるノンフライ調理に目をつけ、オーブントースターを上に大きく引き伸ばしたような独特の形状と、シンプルで使いやすい操作感、低めの価格設定が当たったようだ。聞けば、このノンフライ熱風オーブンも、パナソニックで長年電子レンジを開発していたベテランの技術者によるものだという。
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