コラム
アイリスオーヤマが目指す“次の家電戦略”(2/4 ページ)
2009年に家電分野に参入した生活用品大手のアイリスオーヤマ。シャープやパナソニックを辞めた技術者を積極的に採用し、大手家電メーカーの後を追いかけ始めた同社だが、昨年後半から、家電づくりに対する姿勢の変化が起き始めている。
ただ、こうした大手家電メーカー出身者を大量採用することが、必ずしも功を奏するとは限らない。なぜなら、このノンフライ熱風オーブンの後継機種となる「リクック熱風オーブン」が発売されたのだが、これが失敗に終わっているのだ。「自動メニュー」や「リクックメニュー」という一見、便利そうでいて実はターゲットが絞られず、使いにくい『多機能かつ高価格』な家電になってしまっているのがその原因だ。
温度センサーを搭載し、ハンバーグやステーキまでを自動で調理。一方で揚げ物のお惣菜を食感よくカリッと温める「リクック」メニューも搭載、さらにはフライヤーやトースター、グリル機能など一台三役で使える多機能さをアピールしているが、お惣菜を頻繁に買ってくる人はハンバーグをひき肉からこねて作ることはしないだろうし、何より、ボタンが増えて使いにくくなってしまった。価格も発売当初の想定売価は従来モデルよりも2万円ほどアップしており、“技術ありきの多機能、高価格家電”になってしまったのだ。
これでは周回遅れで大手家電メーカーがたどってきた家電づくりの道を再び歩むことになりかねない。そう危惧の念を抱いたのが2015年春のことだった。
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