ココイチのカツ横流し事件、産廃業者の「ひとりでやった」が信用できない理由:スピン経済の歩き方(4/4 ページ)
ココイチの「カツ横流し事件」が世間を騒がせている。今回の不正は、産廃業者ダイコーによる“単独犯”ということになっているが、筆者の窪田氏は「『ひとりでやった』というのは信じられない」と指摘している。なぜなら……。
ひとりで「横流し」をしようと考えるのか
そこでひとつの疑問が浮かぶ。このように「食」と強固なネットワークがあるダイコー社長が、本当にひとりだけで横流しをしようなどと考えるのか。
もっとストレートに言おう。どこかほかに今回の「絵」を描いた人間がいるのではないか。
三笠フーズの汚染米ロンダリングを最初にもちかけて「指南」をしたのは、サン商事の実質的経営者だった非常勤顧問氏だ。当時、経営難に陥っていた三笠フーズの社長は渡りに船と飛びついた。ならば、食い詰めたダイコーも同様に「指南役」がいたとしてもおかしくはない。
みのりフーズは壱番屋の段ボールから詰め替えて次の業者に持ち込んだという。にもかかわらず、次の業者には、「ココイチのビーフカツ」というポップで流通した。数多の仲介業者が介在する日本の流通では時折、このようによく分からないモノが流れてくることがある。いまだよく分からない、「闇」が横たわっている。「お値打ち品」や「200円弁当」などの食材がどこからどう流れているのかは、売っている本人たちですら知らない。
そんな「流通の闇」にとりこまれたのはダイコーだけだったのか。「ひとりでやった」といち早く表明したのは、トカゲの尻尾切りのような気がしてならない。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで100件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
著書は日本の政治や企業の広報戦略をテーマにした『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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