あれ? なぜコインパーキングで「予約」ができないのか:水曜インタビュー劇場(駐車場公演)(6/7 ページ)
駐車場シェアリングが拡大している。利用者のメリットは、空き駐車場を予約できることだが、なぜ既存のコインパーキングでは予約することができないのか。駐車場シェアリング「akippa」を運営する金谷社長に話を聞いたところ……。
「丸亀製麺」の売り上げがアップ
金谷: コンビニ以外に、うどんチェーンの「丸亀製麺」さんからご相談がありました。ロードサイドの店舗が多いので駐車場を確保されているのですが、従業員の方々もそこを利用されていたようです。そうすると、お客さんがクルマを停めようと思っても停めることができなくなる。結果、店内は空席があるのに、店の前の道路は渋滞……といった事態になっていたようです。でも「これではないけない」ということで、当社が従業員用の駐車場を60店舗分用意しました。
土肥: 先ほどの質問と重複するのですが、月極駐車場を借りればいいのではないでしょうか。コンビニの店舗数は多くて管理するのが大変かもしれませんが、60店舗分くらいであれば“気合い”でなんとかなるのでは。
金谷: 平日はそれほど混んでいないので、店の駐車場にクルマを停めていらっしゃる。つまり、月極駐車場を借りれば高くつくんですよ。当社と契約するまでは、コインパーキングに停めていた店舗もあったと聞いています。
また、丸亀製麺さんの勤務形態は交代制。Aさんは5時間分、Bさんは6時間分、Cさんは7時間といった感じなので、コインパーキングに停めるとどうしても高くつくんですよね。あきっぱの場合、1日単位で駐車することができ、さらに何度も出し入れ可能なので、コスト削減につながったのではないでしょうか。
土肥: 駐車場にクルマを停めることができると、お客の回転率がアップしたのではないでしょうか?
金谷: はい。駐車場を用意したことで、1日の売り上げが1店舗当たり5万円ほどアップしたそうです。
土肥: ほほー。金谷さんの話を聞いていて、駐車場シェアリングの参入障壁はかなり低いなあと感じました。駐車場に精算機やロック装置などがいらないので、金銭的負担は少ない。しかし、最も重要なのは「スピード」。競合他社が参入する前に、駐車場をどんどん増やさなければいけない。
例えば、飲食店などの場合、店舗を増やせば増やすほど大きく儲けることができるかもしれませんが、その一方でリスクもその分大きくなる。でも駐車場シェアリングの場合、成果報酬型なので駐車場をどんどん増やしてもリスクはそれほど大きくならない。
金谷: ですね。
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