「SMAPは友情と打算の二重構造」と感じる、これだけの理由:スピン経済の歩き方(4/7 ページ)
日本中がザワザワした「SMAP解散騒動」がようやく落ち着こうとしている。一連の動きを振り返って、筆者の窪田氏が最も印象に残ったのは「情報戦」だという。その理由は……。
「中居の乱」と「加藤の乱」の共通点
また、首謀者をより明確にするため、その人物が「敗れてからも頑なに謝罪を拒否している」という話が触れまわれる点も同じだ。
SMAP×SMAPの「公開謝罪」で草なぎくんが、「ジャニーさんに謝る機会を木村くんが作ってくれた」というコメントを述べたが、翌日の『サンケイスポーツ』に登場した「複数の関係者」によると、これは当初、中居くんが述べるはずの言葉だったが難色を示したため、その場の空気を読んで草なぎくんが「代弁」したという。
このような「謝罪拒否」ネタは加藤氏にももちあがった。騒動後、加藤派と反加藤派と真っ二つに割れた派閥の関係修復がなかなか進まない原因を、「肝心の加藤氏が反加藤グループへの謝罪を拒否している」と報じられたのだ。
さらに特筆すべきは、このように「反省の色のない首謀者」に対しても、勝者は「お咎(とが)めなし」という寛大の処置をした姿勢がアピールされるのも丸かぶりだ。
『日刊スポーツ』は21日、これまた「関係者」が「4人がさらし者にされたことが、騒動を引き起こしたことに関する最大のペナルティーとなった」と語り、事務所側が「手打ち」にしたと大きく報じている。
そんな「国民の前でさらし者になる=禊(みそぎ)」というのは、「加藤の乱」でも確認できる。クーデターを鎮圧した野中広務幹事長は、「造反組」に対して「お咎めなし」という寛大な処置をするとアピールするととともに、このように述べた。
苦渋の中から、目に涙をためて、同志に語っている加藤氏を見て、心の痛みを感じた。これからもお互い、この傷をなめ合って、党の発展、改革に生かしていかなくてはならない。(東京新聞2000年11月21日)
つまり、話をまとめると「中居の乱」と「加藤の乱」は、ともにメディアを使って、「人気を誇るリーダーに、『往生際の悪い敗軍の将』という執拗なイメージ付けを行いながら、勝者側は懐の深さをアピールする」という共通点があるのだ。
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