世界が販売禁止に乗り出す、“つぶつぶ入り洗顔料”の何が危険なのか:世界を読み解くニュース・サロン(5/5 ページ)
スクラブ製品が、世界的に注目されているのをご存じだろうか。私たちが何気なく使っているスクラブ洗顔料や歯磨き粉などの一部には、いわゆる「マイクロビーズ」と呼ばれるプラスチックの粒子が使われている。その粒子が……。
次は洋服に使われているマイクロファイバー
化粧品最大手の資生堂では、こうした問題を鑑みて、2年前からマイクロビーズの使用を止めている。この流れは、昨年末のオバマ大統領による署名でさらに強くなっていくだろう。日本でも、その動きが広がることは間違いない。
PSFのダジェボス氏は、「私たちの考えでは、化粧品に限るとマイクロビーズを使うのは“設計ミス”だ。消費者は歯磨き粉やシャンプーなどにマイクロビーズを入れて欲しいなんて考えていないし、マイクロビーズの代わりになる代替材料が存在すると私たちは考えている」と指摘した。
マイクロビーズの問題提起を成功させたオランダのPSFは、次は洋服に使われているマイクロファイバー(合成繊維)が海などに流れ込むことを食い止める活動を始めるという。というのも、マイクロビーズ同様、アクリルやナイロン、ポリエステル素材を洗濯することによって、大量のマイクロファイバーが下水などからフィルターを抜けて、自然界に流れ出ているという。例えばポリエステルのフリースを一度洗うことで、100万の繊維が流出するらしい。
同団体のダジェボス氏はこう意気込む。「すでに世界中のNGOなんかと協力しています。今後は活動を成功させるためにも、中国や日本でもその活動を広げていきたい」
筆者プロフィール:
山田敏弘
ノンフィクション作家・ジャーナリスト。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト研究員を経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)がある。
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