NY市内を気軽に移動できるUberは、日本でも流行る?:新連載・NY在住ライターのスマートIT活用術(8/8 ページ)
NY在住フリーライターの公文紫都が、日々の生活でどうITを活用しているかご紹介する当連載。第一弾は、日本でも展開中のタクシー配車アプリ「Uber」を取り上げます。すでにイエローキャブより走行台数が多いともされる「Uber」が、ニューヨーカーに支持される理由と、日本でも同様に流行るかを考えていきます。
日本での普及に一役買うものは?
今後、日本でより使われるようになるには、単純にタクシーの置き換えとしてではなく、別の切り口でも売り込んでいったほうが良いのではないかと思います。1つは「外国人対応」。私がタクシーよりUberを好む理由は、ドライバーの対応が良いとか、車内がキレイだとか、値段が安いとかそういったことに加えて、「英語が苦手でもきちんと目的に着ける」ところにあります。
タクシーの場合は、乗った後に自分で、しかも英語で目的の住所を伝えなくてはいけません。「こういうルートで行ってほしい」とか、近くに着いたら、「ここで良いです」「あそこに寄せてほしい」とか、他にも英語を使う場面はいろいろあります。一方Uberは予め目的地を登録しておけるので、乗ったときに「住所はここで合っている?」と質問されることもありますが、それくらいであれば、「Yes」「No」でも構わないので、英語力うんぬんが関わってくる問題ではありません。
NYに来る知り合いの中には、私と同じような理由でUberを使っている人も多いようです。もしかしたら日本も似たような状況かもしれません。特に2020年の東京オリンピックに向け、ますます外国人観光客の増加が予想される今後、日本語は話せなくても、事前に目的地を登録しておけばたどり着けるというのは、観光客にとって嬉しいポイントではないでしょうか。もちろん、いくらアプリで目的地を指定できるとはいえ、ドライバーも多少は会話できたほうが良いと思うので、そこは教育の必要があると思いますが。「外国人を乗せる」という視点で考えれば、サービス面でできることはまだまだありそうです。
もう1つは、記事の中で触れた「Gett」や「Lyft Line」「UberPOOL」のような「相乗りサービス」。特に終電が終わってしまった後の、「相乗り」は需要が多いのではないかと思うので、サービス普及に一役買うかなと。日本のタクシーは初乗り料金が高い上に、深夜は割増料金がかかるので、若い人にとっては「簡単には使いにくいもの」です。すでに「友人と同乗した際の割り勘サービス」は提供されているので、ここに「他人との相乗り」が加わると、より魅力が増しそうです。
とはいえいろいろな規制もあるでしょうから、日本で「相乗り」が導入されるかは定かではありませんが、「配車アプリ」としての基本的な役割に加え、「高級車を安く相乗りできるサービス」が可能になれば、より多くのユーザーに浸透するのではないかと考えます。
今回はユーザー視点でのUberの使い方について説明しましたが、別の機会に「なぜNYではUberのドライバーを副業にする人が増えているか?」というお話をしたいと思います。
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