「最恐の殺人地域」を救うことができるのか 武器は日本の意外な“文化”:世界を読み解くニュース・サロン(2/5 ページ)
「中南米は危険」といった話を聞いたことがあると思うが、私たちが想像している以上に“危険”であるようだ。「世界で最も暴力的な都市2015年」を見ると、上位に中南米の都市がランクイン。こうした状況に対して、日本のある文化が期待されている。それは……。
中南米の惨状が改めて浮き彫りに
まず基本的な情報として、毎年、確定しているだけで世界で約44万人が意図的な殺害行為によって命を落としている。つまり世界的に見ると、10万人につき6人が殺人の被害にあっていることになる。
そして全世界で起きる殺人事件の3分の1は、中南米とカリブ海地域で発生している。世界の人口分布を見ると、中南米とカリブ海地域が占めるのはたったの8%ほどに過ぎないのにもかかわらず、だ。
CCSP-JPの最新調査「世界で最も暴力的な都市2015年」を見てみたい。この調査は、世界で人口30万人以上をもつ都市で起きた犯罪を調べ、ランキングにして世界で最も危険な都市のワースト50を明らかにしている。
この調査では、中南米の惨状が改めて浮き彫りになった。まず世界で最も暴力的な都市は、ベネズエラの首都カラカス。人口330万人ほどのカラカスでは、殺人事件発生数が世界でも断トツの年間3946件で、10万人中120人ほどが殺人で死亡していることになる。ちなみに人口1330万人の東京(カラカスの4倍)では、殺人事件は年間130件ほどだ。
2位はホンジュラスのサン・ペドロ・スーラ。2014年は最悪だったが、2015年はカラカスにトップの座を、光栄なことに、明け渡した。3位はエルサルバドルの首都サンサルバドルで、4位はメキシコのアカプルコ。5位はベネズエラのマトゥリンだ。
5位まで見てきてお気づきだと思うが、ワースト5はいずれも中南米の都市だ。実はワースト10を見ても、9位に南アフリカのケープタウンがラインクインしているだけで(人口370万人で殺人は2451件)、他は全て中南米が入っている。ブラジル、ベネズエラ、コロンビア、メキシコだけで、世界全体の殺人事件の4分の1を占める。
ワースト50都市をみると、実に、42都市が中南米カリブ海地域なのである。ちなみに都市ではなく国単位でみても、ベネズエラでは10万人中54人、ブラジルは25人で、米国でも4.7人が殺人で死亡する。日本は10万人中0.3人、欧州西部の国々でも殺人で死亡するケースは10万人中1人程度である。
関連記事
- 世界が販売禁止に乗り出す、“つぶつぶ入り洗顔料”の何が危険なのか
スクラブ製品が、世界的に注目されているのをご存じだろうか。私たちが何気なく使っているスクラブ洗顔料や歯磨き粉などの一部には、いわゆる「マイクロビーズ」と呼ばれるプラスチックの粒子が使われている。その粒子が……。 - 中国政府がいま最も恐れているのは、ネット上の「くまのプーさん」
中国共産党がネット上の検閲に力を入れている。いわゆる「サイバーポリス」と呼ばれる工作員が反政府的な発言などをチェックしているが、2015年に最も削除された発言は……。 - なぜ「楽天」が世界中で叩かれているのか?
英語の社内公用語化など、グローバル企業への成長を目指して動き出した楽天。だが、本当に必要なのは「国際企業ごっこ」ではない。国際社会に対する社会的な貢献が求められる。 - 世界から「児童ポルノ帝国」と呼ばれるニッポン
衆議院で可決した「児童買春・ポルノ禁止法」改正案。日本では大きく報じられていないように見えるが、海外では大きな話題になっている。規制が強化された格好だが、海外メディアの反応は厳しい。その内容とは……?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.