「最恐の殺人地域」を救うことができるのか 武器は日本の意外な“文化”:世界を読み解くニュース・サロン(3/5 ページ)
「中南米は危険」といった話を聞いたことがあると思うが、私たちが想像している以上に“危険”であるようだ。「世界で最も暴力的な都市2015年」を見ると、上位に中南米の都市がランクイン。こうした状況に対して、日本のある文化が期待されている。それは……。
犯人がきちんと摘発されていない
中南米以外では、南アフリカと米国のそれぞれ4都市が登場する。2016年2月に大統領選挙がスタートした米国では、ミズーリ州セントルイスが15位、メリーランド州ボルチモアが19位、ミシガン州デトロイトが28位、ルイジアナ州ニューオリンズが32位だ。米国は先進国としてはやはり、断トツで危険な地域が多い。
逆に中南米でもっとも安全な国はチリで、10万人中2.7人が殺害され、米国よりも安全である。またCCSP-JPの代表であるホセ・アントニオ・オルテガ・サントス氏によれば、最近の傾向として「殺人の件数が最も劇的に減ったのはコロンビアとメキシコの都市だ。逆にサンサルバドールでは最も急激に増加している」
ではなぜ、南米はこうも犯罪が多いのか。国連によると、その要因はいくつか存在する。まず殺人事件で拳銃が使われるケースが全体の41%という事実から、拳銃が殺人に密接に関わっていることが分かる。事実、米国や中南米など米大陸では拳銃を手に入れやすく、拳銃による殺人が他の地域に比べて圧倒的に多い。
それ以外の要因としては、麻薬密売やギャング間の抗争、政治不安、汚職、貧困や格差などがある。中南米は世界でも経済格差の大きい国として知られているし、麻薬カルテルが抗争を繰り広げて血で血を洗う争いを行っている。
ただそれ以上に問題なのは治安・捜査当局の力量で、これこそが中南米が最恐地域である最大の理由ではないだろうか。
要するに、犯人がきちんと摘発されていないのである。アジアや欧州では殺人事件への対応は早く、85%ほどの割合で犯人が特定または逮捕される。これが、米国や中南米になると、その割合は50%ほどに落ちるのだ。ちなみに世界的に見ると、殺人犯の特定または逮捕は60%ほどになる。
さらに逮捕された容疑者が有罪になる確率は世界平均で48%だが、中南米はたったの24%である。日本の有罪率が99%以上であることはよく知られているが(もちろん冤罪もある)、欧州全体では約81%、アジア全体で見ると48%になる。中南米は異常に低い。そして麻薬カルテルやギャングが絡むと、さらに有罪率は低くなる傾向がある。その背景には汚職なども指摘されている。
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