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「ガソリンが下落すれば、回転ずし屋の客が増える」は本当かスピン経済の歩き方(5/5 ページ)

「ガソリン下落 回転ずしが恩恵」というニュースがあった。ガソリン価格が大幅に値下がりしたことで、駐車場付の郊外型回転ずしチェーン店へマイカーで出掛けるファミリー層などが増えているという。「風が吹けば、桶屋が儲かる」といった話だが、本当にそうなのか。

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「外国人観光客が増えると、GDPが成長」という報道

 世論にも悪影響を及ぼす。「世界が驚く革新的な技術を生み出せば、かつてのような繁栄が蘇る」「日本は他とは違う特別な国だ」という根拠のない思い込みが社会にまん延し、「人口減」に対して真剣に取り組もうという機運の高まりを阻んでいる。

 人口減少社会の中で、効率的にGDPを成長させていくには、他国からの観光客を迎え入れて金を落とさせるしかないのは明白であるにもかかわらず、いまだに「外国人関係者が増えても、うるさいし犯罪が増えるだけだから迷惑」なんて声が多い背景には「日本の技術は世界一なんだから、なにも外人にヘコヘコしなくても」という「奢り」がいまも根強く残っているからだ。

 これを変えるためには、やはりマスメディアの方たちにがんばっていただくしかない。

 回転ずし屋とガソリンも面白いが、「外国人観光客が増えれば、GDPが成長してウハウハ」なんてキャンペーンでもやって、世論を動かしていただけないだろうか。

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで100件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。

 著書は日本の政治や企業の広報戦略をテーマにした『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。


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