人工知能と外国人に、私たちの仕事は奪われてしまうのか:水曜インタビュー劇場(消える仕事公演)(5/6 ページ)
人工知能によって、自分の仕事が奪われるかもしれない――。そんな不安を感じたことがある人も多いと思うが、実際のところどうなのか。このテーマを調査した、野村総合研究所の担当者に話を聞いた。
サービスレベルが低下する
寺田: 理由の2つめは「円安」。ここ数年、中国人が日本に観光でやって来て、いわゆる“爆買”をしていますよね。日本でお金を使うのはいいけれど、働く人にとっては不利なんですよ。円が安いから日本で買い物をするのであって、円が安いところで働いても稼ぎは少ない。このように考えると、いまは「移民は来てくれるな、日本の治安が悪くなる」「外国人労働者は必要ない」といった雰囲気がありますが、2030年はどうなっているか。頭を下げても、外国人は日本にやって来てくれませんよ。
人口が減って、労働力が減って――。このままいけば、今あるサービスですら、提供できなくなるかもしれません。そのときになって、外国人に「どうか日本に来てください」とお願いしても、来てくれないですよ。
土肥: 既にサービスを提供できなくなっているケースがありますよね。例えば、コンビニではアルバイトを集めることができず、深夜に閉店する店がじわじわと増えています。
寺田: 物流も人が足りなくて、再配達に料金がかかるようになってきました。このようにサービスレベルがどんどん落ちていっているんですよね。
土肥: では、外国人に「日本で働きたい」と思ってもらうのにはどうすればいいのでしょうか?
寺田: 「年功序列」を廃止するしかないですね。
土肥: あ、なるほど。
寺田: 「優秀なエンジニアを採用できない」という企業の声がありますが、米国のシリコンバレーでは新卒で年収1000万円を支給する企業が増えてきているんですよ。
「日本は英語が通じないので不利」といった声もありますが、その問題よりもエンジニアの獲得競争で負けているように「経済面」の問題があるのではないでしょうか。誤解のないように申し上げておきますが、「日本のことがものすごく好き」という外国人は、やって来るでしょう。それは、昔も、今も、そして未来も同じ。しかし、そうではない人たちにとってはどうか。円は安いし、年功序列はあるし、先は見えないし。外国人に、日本で働きませんか? と聞いても「話にならない」という答えが返ってくるのではないでしょうか。
関連記事
- あなたは大丈夫? 10〜20年後、人工知能に奪われる仕事100
人工知能によってあなたの仕事が奪われるかもしれない――。このような不安を感じている人も多いのでは。ある調査によると「労働人口の49%が人工知能などによって奪われる」という結果がでたが、この数字をどのように受け止めればいいのか。 - 7割が「課長」になれない中で、5年後も食っていける人物
「いまの時代、7割は課長になれない」と言われているが、ビジネスパーソンはどのように対応すればいいのか。リクルートでフェローを務められ、その後、中学校の校長を務められた藤原和博さんに聞いた。 - 今からでも遅くない? 年収200万円と800万円の分かれ道
サラリーマンの給料が減っていく――。このような話を聞くと、不安を感じる人も多いのでは。人口減少などの影響を受け、大幅な経済成長が見込めない中で、私たちはどのように仕事をしていけばいいのか。リクルートでフェローとして活躍された藤原和博さんに聞いた。 - なぜ「ココイチ」の味は“普通”なのに、トップを独走しているのか
「カレーハウスCoCo壱番屋」(ココイチ)を運営している壱番屋の業績が好調である。市場をみると、ココイチの店舗数は1000店を超えているのに、2位のゴーゴーカレーは80店ほど。なぜココイチはここまで「独走」しているのか。同社の取締役に聞いたところ……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.