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正面からぶつかっても勝てない――“王者”セブン-イレブンとの競争戦略:すごい差別化戦略(2/5 ページ)
“王者”セブン-イレブンが君臨するコンビニ市場で、他のコンビニは、どのような戦略を打ち出せばいいのでしょうか?
2015年、この問題について筆者担当ゼミナールの学生たちが研究に取り組みました。具体的には、「セブンが圧倒的地位に立つコンビニ業界で、業界第5位のミニ・ストップはどのような戦略を展開していくべきか」というテーマです。
ミニ・ストップは、GMS(総合スーパー)業界で圧倒的王者であるイオングループ傘下のコンビニです。「こうした強みを活用して戦略を立てれば、解決策が導かれるのではないか?」ということから、ミニ・ストップが研究対象になりました。
セブンの国内店舗数は約1万7000店で、ミニ・ストップは約2000店です。店舗数において8倍以上の差をどのように縮めていくのか、筆者も大変興味深いテーマだと感じました。
調べれば調べるほど、セブンの強みが明らかに
学生たちは、まず消費者のコンビニに対する意識調査を行いました。結果は予想通り、ブランドイメージや商品に対する評価などで、セブンの人気は圧倒的でした。
また、各コンビニを訪問してオーナーなどにインタビューを行うと、セブンは各店への商品の納入頻度が、ほかのコンビニより多いことが分かりました。商品の納入頻度が多いことにより、商品の品切れや過剰在庫を最小化させることができます。
さらに、その効果は物流だけにとどまりません。納入頻度の多さは、消費者においしい商品を届けることにもつながります。なぜなら、鮮度の高い商品を届けることが可能となるからです。また、次の納入までの時間が短いことで、商品への保存料などの使用を最小限に抑えることができます。
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