国産初ジェット「MRJ」を購入したのは、どんな人物なのか:世界を読み解くニュース・サロン(1/5 ページ)
国産初の小型ジェット旅客機「MRJ」に、フォローの風が吹いている。米リース会社のエアロリースから最大20機の受注が決まったことで、関係者はほっとしたはず。ところで「エアロリース」社とは、一体どのような会社なのか。筆者の山田氏が調べてみると……。
世界を読み解くニュース・サロン:
今知るべき国際情勢ニュースをピックアップし、少し斜めから分かりやすく解説。国際情勢などというと堅苦しく遠い世界の出来事という印象があるが、ますますグローバル化する世界では、外交から政治、スポーツやエンタメまでが複雑に絡み合い、日本をも巻き込んだ世界秩序を形成している。
欧州ではかつて知的な社交場を“サロン”と呼んだが、これを読めば国際ニュースを読み解くためのさまざまな側面が見えて来るサロン的なコラムを目指す。
国産初の小型ジェット旅客機「三菱リージョナルジェット(MRJ)」の関係者はほっと胸をなでおろしたことだろう。
三菱航空機は2016年2月16日、同社が開発するMRJについて、米航空機リース会社エアロリース社と最大で20機(総額1090億円)の確定発注に向けた基本合意に達したと発表した(参照リンク)。
このMRJ、2015年に日本航空から発注を受けて以降、1年以上も受注が途絶えていたため、一部で、その行く末を懸念する声も上がっていた。それだけにこのニュースは国内で大きく報じられ、同社社長の森本浩通氏も記者会見の写真撮影に親指を立てて応じ、「今回の基本合意は、MRJの資産価値がマーケットで認められた証であり、今後のエアライン向けの受注活動にも大きく寄与するものと考えています」とコメントした。
MRJは日本の航空開発担当者やファンにとっては単なる旅客機ではない。日本の「ものづくり」文化を象徴するものであり、第二次大戦の敗戦直後に製造が禁じられた国産航空機をめぐるノスタルジー(40年ぶりの航空機開発で、「空白の40年」と言われている)を感じさせ、国威発揚をくすぐる計画として見る人も多い。
そこでこんな疑問を抱いた。図らずも日本の航空ファンの夢に手を差し伸べることになったエアロリース社とは、一体どういう会社なのか。それを知るために、米国のエアロリース社で代表を務める男性に取材を試みた。
すると、30年以上航空機リース事業に携わっているその男性、ジェプ・ソーントン代表は非常に興味深い経歴の持ち主であることが分かった。同時に、航空機に限らない日本の国産メーカーのクオリティに惚(ほ)れ込んでいる人物でもあった。そして、その事実からは何が見えてくるのか。
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