中国が“爆買い”で、世界サッカー界を征服する日:赤坂8丁目発 スポーツ246(2/4 ページ)
中国がサッカーの分野でも“世界制覇”を狙っている――。こんな話を聞いても、多くの人は「そんなわけないでしょ」と思われたかもしれないが、ひょっとしたら実現するかもしれない。そう感じさせられる動きが、中国企業を中心に起きているのだ。
中国政府の狙いどこに?
その中国スーパーリーグの主要クラブチームでオーナーとなっている企業の大半が巨大な資産を擁する同国国内の超有力な不動産グループ企業。中国は不動産バブルが崩壊しつつあると見られているものの、まだまだ不動産需要への依存度は高い。主要クラブに潤沢な資金が湯水のごとく沸いて出てくる背景には、こうした中国国内の不動産グループ系オーナー企業のバックアップ体制が整っているからに他ならない。
オランダを拠点として世界148カ国にグローバルネットワークを張るプロフェッショナル・サービスファーム(知的専門家集団)の「KPMG」が今年1月に発表した調査結果によると、2011〜12シーズンを100%とした中国スーパーリーグの観客数伸び率は、直近の2014〜15シーズンで119.2%をマークしたという。人気面を見ても成長著しい同リーグに投資しようという国内企業は前出の不動産グループ系企業だけではなく、広州恒大の株式を50%保有している中国・電子商取引大手の阿里巴巴集団(アリババ・グループ)のように中国国内で新進気鋭と称される優良ベンチャー企業も同リーグ・主要クラブの有力株主として名を連ねている現状がある。
実はこうした流れを前もってシナリオとして描き、国内の有力企業に率先して投資することをあおりながら中国スーパーリーグの急成長を後押ししているのが、中国共産党のトップ・習近平国家主席だ。サッカー好きを公言している同国家主席は2022年にカタールで開催されるワールドカップ(W杯)の後に自国でのW杯開催を狙っており、急失速している国内経済成長のカンフル剤としたい考えも持っている。そして同時に現在FIFA(国際サッカー連盟)ランキングで93位と低迷している中国代表チームを自国開催のW杯で優勝させることを本気で目論んでいるのである。
それを具現化させる指針として、昨年2月末には国を挙げたサッカー底上げ策の「中国サッカー改革の総合方案」なるプランが周氏が主宰する国家改革グループ会議の中で採択された。これは2025年までには5万校以上の国内サッカー選手養成学校を創設して累計で15万人のサッカー選手を誕生させ、そのうちの3分の1を欧州のクラブに移籍ないし留学させるという内容のものだ。これについて前出のA氏は次のようにも打ち明ける。
「このプランの内容をさらに補足すると、政府は中国スーパーリーグを近い将来のうちに世界トップ5のプロリーグを超越するレベルにまで引き上げ、そこで世界有数のスター選手に揉まれながら有能な指導者のもとでプレーする中国人プレーヤーのテクニックもジャンプアップさせようと計画している。
これと平行して中国代表チームもFIFAランキングのトップ10以内にランクインさせるように大号令をかけている。それにしても、なにゆえ習近平国家主席は『サッカー』にここまでこだわるのか。世界各国に浸透しているサッカー人気が中国でも高まれば国民の士気も向上するのと同時に、中国サッカーのレベルアップによって他国の国民に対しても『強い中国』を強烈に印象付けることができる。中国政府の狙いはここにある」
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