ホワイトカラーも一流にする「トヨタの自工程完結」:ノッている会社は、ここまでやっている!(2/7 ページ)
日本を代表する企業「トヨタ自動車」が、2007年から社内で大きな「取り組み」を進めている。「ホワイトカラーの働き方」改革だ。どんなことをしているかというと……。
トヨタの新しい取り組み=自工程完結
佐々木氏はこうも書いている、一生懸命にがんばっているのに結果が出ない、というのはおかしい。問題は、そもそも仕事の仕組み=「仕事の進め方」にこそあるのではないか。そんな理不尽な仕事をなくすために、働き方を変えなければいけない。
トヨタの新たな取り組みとは、ホワイトカラーの仕事の仕組み、仕事の進め方を変える全社的な取り組みだ。それは社内で「自工程完結」、海外では「Ji Kotei-Kanketsu」もしくは略して「JKK」と呼ばれている。佐々木氏はこうも書いている。
日本の大きな会社でホワイトカラーの生産性を上げることに、真正面から取り組んでいる例は少ないようです。言葉は本当に申し訳ないですが、みんな根性だけでやっているように見える。でも、はたしてそれで、世界を相手にこれからも戦っていけるのかどうか……。日本の「失われた二〇年」の大きな要因は、もしかしたら、ここにこそあったのかもしれない、と思いました。もう現場の強みだけでは、勝負ができなくなったということです。
トヨタの新しい取り組み=自工程完結とは、がんばっているのに成果が出ない、という理不尽な仕事をなくすために、トヨタ全社で進めている「仕事の質を高める考え方」のことだ。
そのためにまず、認識しなければいけないことがある、と佐々木氏は書いている。それが、「基本的なことが実はホワイトカラーの職場ではできていない」ということ。上司と部下の間で、仕事のやり直しや差し戻しが頻繁に起きていないか。上司がとにかく判断材料を持ってくるよう命じていないか。必要な情報がきちんと共有されずに、無駄が起きてはいないか。社員のモチベーションは下がっていないか……。
もとより誰しも低い生産性の仕事をしたいとは思っていない。スピードアップも図りたいし、モチベーションも高めたい。叱られたくないし、ミスもしたくない。しかし、そう思っているだけではいけないのだ、と佐々木氏は説く。
ところが、どうしても起きてしまう現実があります。要するに私は、こういうことだと思うのです。やってはいけない、起こしてはいけない、といった単なる「心がけ」ではうまくいかないということです。思っているだけでは結果に結びついてはいかない。
そこで佐々木氏が考えたのが、「心がけ」ではなく、もっと科学的に仕事の進め方を捉えることだった。ミスをなくしたり、やり直しをしなくて済むアプローチだ。これこそが、「自工程完結」という取り組みなのである。
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