ホワイトカラーも一流にする「トヨタの自工程完結」:ノッている会社は、ここまでやっている!(6/7 ページ)
日本を代表する企業「トヨタ自動車」が、2007年から社内で大きな「取り組み」を進めている。「ホワイトカラーの働き方」改革だ。どんなことをしているかというと……。
自分が担当した仕事は、自分できっちり完結させる
それにしても、スタッフ部門、ホワイトカラーの働き方を変える取り組みが「自工程完結」という、なんとも技術っぽい名称になっていることに、違和感を持つ人もいるかもしれない。
だが、実はこの言葉はなかなかに深い言葉なのだ。自工程完結のポイントは、それぞれの仕事において「工程」をきっちり洗い出し、必要であればゼロベースから自分の仕事のやり方を見直し、書き出し、それぞれの「工程」できっちり仕事を進めていくということ。
しかし「工程」は、それ自体で完結するわけでは実はない。仕事は最終製品が「顧客」に届くまで、すべてつながっていくのだ。このとき、もし自分が担当した「工程」でいい加減な仕事をしてしまうと、後工程に大きな迷惑をかけてしまうことになりかねない。
自工程完結とはすなわち、自分が担当した仕事は、自分できっちり完結させる、という意味を持っているのだ。
実はこの考え方の原点は、トヨタの歴史にしっかり刻み込まれていたことを、佐々木氏は後に知ることになったという。
トヨタの品質管理の原点は、豊田自動織機の創業者、豊田佐吉が考案した「豊田G型自動織機」にあった。この織機の特徴のひとつは、布を織る糸が切れると、機械が止まるメカニズムが組み込まれていたこと。糸が切れると、不良品を生み出し続けてしまうからだ。
この自動停止の根底には、ひとつの考え方があった。
「良いものだけを生産し、検査に頼らないモノづくりをする」
佐々木氏は書いている。
悪い製品は作らない、万一できてしまったときには、直ちに検出して機械を止める。作っている段階で、品質を管理していくということ。工程で品質を造りこんでいくということです。
まさに「心がけ」だけでなく、課題を科学的に解決していたのだ。トヨタの品質保証の原点は、検査ではなく、工程にこそあったのである。
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