22年間で487倍に! 「安さ」だけではない、チリワイン輸入量急増のわけ(2/2 ページ)
長らく首位を守り続けてきたフランスの牙城がついに崩れた。2015年のスティルワイン年間輸入数量でチリがフランスを抜きトップに躍り出たのだ。その急成長の理由とは――。
英国でもチリワインは売れている
では、チリと同じく「新世界」と呼ばれる南アフリカ、オーストラリアといったワインは、なぜ市場シェアを広げられないのか。その理由として森氏は「ブランディング」を挙げる。
一般の消費者がワインを選ぶ際、ブランドイメージは大きな決め手になっているのだという。古くから日本に入ってきているフランスやイタリア、ドイツなどのワインに対してはある程度の認知が進んでいるというが、「オーストラリアならこれ、南アフリカならあれ、といった印象が多くの消費者にはないはず」と森氏は話す。
それに対してチリワインは上述したように「コストパフォーマンスの高さ」が1つのメルクマールとなっている。これのブランディングこそが、チリワインが安さや味だけにとどまらない急成長の理由だとしている。
なお、チリワインの輸入量が多いのは日本に限った話ではなく、米国をはじめ、英国、中国、ブラジル、カナダなどでも大きな市場シェアを占めている。例えば、英国の場合、かつてワインの量販はプライベートブランド(PB)が多いマーケットだった。その供給先としてチリワインの輸入が増加したという。「以前はフランスワインに頼っていたが、その後、低価格の新世界ワインが入ってきた。その中でチリワインがうまく現地の流通と手を組んで市場シェアを獲得していったのだ」と森氏は説明した。
日本でも今後さらにチリワインの輸入量は増えるはずだ。皆さんの日常生活でますますチリワインを目にする機会が多くなるかもしれない。
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