リサイクルの「エンタメ化」がデロリアンを走らせた(4/8 ページ)
2015年10月、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で活躍したデロリアンが復活――。映画ファンのみならず、多くの人はこのニュースに驚いたのでは。ハリウッドとどんな交渉があったのか? 日本環境設計の岩元社長に話を聞いた。
高みから俯瞰し、小さく証明し、大きく表現する。
永井: 我々アイディール・リーダーズは「理・響・躍」と呼んでいるのですが、岩元さんの取り組みは、「循環型社会を作ろう、そのための仕組みは整えました」という「理」をいかに「響」かせるか? 真面目な取り組みなだけに、真面目一本だけでは世の中に伝わりにくい。だったらエンタメだ! という「躍」があったわけですね。デロリアンは確かにその1つの集大成だったのだと思います。そもそも起業された経緯や事業の現状などもお話いただいてもいいですか?
岩元: いま市場に供給されているバイオエタノールの多くは、トウモロコシなどの穀物を原料としています。食料をエネルギーとして利用することが果たして良いのか? という議論があり、間伐材などを利用する方向にシフトしたのですが、我々はそこで古着を始めとした「繊維」に目を付けた。それが良かったんだと思いますね。セルロースがたくさん含まれている原料のほうが、糖がたくさんできて、そこからエタノールがたくさんできる。綿は95〜96%がセルロースでできていますから。他の原料と比べて重量比で3倍のエタノールを生み出すことができるんです。古着などの綿製品には不純物もほとんどありませんから、工程も簡素化できた。
ただ、非常に効率が良い一方で、資源回収の量がまだまだ小さいのが実情です。したがってプラントは今治において、技術開発を行い、現地のタオル工場のボイラー燃料として使えるように加工して、供給しているのみです。資源の回収量が増えてバイオエタノールの大量生産に目処が立てば、先ほど述べたように自動車のガソリンに混合する道筋が立ってきます。
永井: いま達成したい量の何割くらいが回収できているのですか?
岩元: まだまだわずかですね。繊維の廃棄量は年間200万トンですが、そのほとんどが自治体が生ゴミと一緒に回収して燃やしてしまっているのが現状です。ようやく技術を整え、量産プラントの建設が始まったところなので、設備が整いこれから本格始動!、という段階ですね。デロリアンはいわばその狼煙(のろし)なんです。
永井: なるほど。それにしても、社員は30人前後という中で、これからどのように仕組みを回していこうとしているのかも気になります。
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