リサイクルの「エンタメ化」がデロリアンを走らせた(8/8 ページ)
2015年10月、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で活躍したデロリアンが復活――。映画ファンのみならず、多くの人はこのニュースに驚いたのでは。ハリウッドとどんな交渉があったのか? 日本環境設計の岩元社長に話を聞いた。
リサイクルインフラを展開していく計画
岩元: 今のところ中途採用のみですが意欲が高く、経験とスキルのある人を集められていると思います。そして、今後この仕組みを海外にも展開するにあたっては、海外経験者が必要なので、今年から留学制度をスタートさせて、いま一人留学してもらっています。
永井: 20人前後の会社で海外留学というのも珍しい話ですね。
岩元: しかも一番活躍していた社員ですからね。でも、だからこそ、彼女が1年間抜けることによる苦労よりも、得られるものが大きいはずだと考えて気持ちよく送り出しています。「100人飲み友だちを見つけてこい」って言って。ビジネスを「勉強」するんじゃなくてね。
永井: 結局ネットワークが生きてきますからね。留学なのに勉強が目的じゃない、一番活躍している社員を送り出す、というのも一見非合理だけど。
岩元: 「いやー大変なんですよ」というと、取引先も「大変ですよね」って理解してくれ、協力してくれますからね。でも人が育てばそれは取引先にとっても良いことだ、と信じて続けていこうと思います。実際、循環型の仕組みを構築しようとすると、文化の異なるさまざまな企業・団体が関係することになりますから、我々のような存在が重要なんですよ。
お陰様で2015年度のアショカ財団のフェローにも選んでいただけました 。インドをはじめ海外にも我々のリサイクルインフラを展開していく計画です。
永井: 御社も岩元さんも、次の段階に進んでいくことになりますね。世間の耳目を集めたデロリアンですが、派手なパフォーマンスではなく、そこまで積み上げてきた着実な取り組みあってこそのものだ、ということが改めてよく分かりました。本日はありがとうございました。
聞き手:永井恒男
1997年、野村総合研究所に入社。2005年に社内ベンチャー制度を活用し、エグゼクティブコーチングと戦略コンサルティングを融合した新規事業IDELEA(イデリア)を立ち上げ、以後10年間事業を推進。2015年4月にコンサルティング会社、Ideal Leaders株式会社を設立し、代表取締役 Founderに就任。ソーシャルイノベーションの実現・加速を目指し、2016年2月23日、企業とNPOの共創を生み出すアイディアコンテスト最終審査イベントを開催。詳しいリポートはこちらから。
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