リサイクルの「エンタメ化」がデロリアンを走らせた(7/8 ページ)
2015年10月、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で活躍したデロリアンが復活――。映画ファンのみならず、多くの人はこのニュースに驚いたのでは。ハリウッドとどんな交渉があったのか? 日本環境設計の岩元社長に話を聞いた。
相手のメリットを一生懸命考えて説得
岩元: はい、もちろん。製鉄会社にとってCO2排出量の削減が課題であり、そこに他社のCO2削減に貢献するという話が渡りに船だったんですね。回収資源をストックしておく場所なども、彼らは広大な敷地をもっていますから我々が供給する量であれば問題にならなかったはずです。つまり、私たちが倉庫などを用意する必要もなく、ひたすら企業への営業と提携成立に注力することができました。
いまの今治のプラントもですが、実はタオルの染色工場とほぼ同じ構造なんです。日本の繊維産業が海外にその機能を移転させるのが多いなか、使われなくなっていく工場が増え始めたため、工場を改良しただけなんです。タオルの染色設備をほぼそのまま転用していますから、1から作れば15億くらい掛かるところを、1000万円程度で稼働にこぎ着けることができました。今治にも雇用創出・エネルギーの地産地消・環境に優しいブランドイメージといったメリットを提供できたのではないかと思います。
永井: まさに「高い視点・小さな証明・大きな表現」を地で行く話ですね。
岩元: おカネがなかったから、良かったんだと思います。だから相手のメリットを一生懸命考えて説得して、工場をよーく観察して改良で何とかできるところを探して、ということができたし、せざるを得なかったんだから。
永井: 端から見ると「どうしてそんなことができたんだ」という非合理な魔法みたいな話ですけれど、岩元さんがそのような選択をした経緯を追っていくと、極めて合理的な判断の積み重ねなんですよね。
岩元: 証明するというのは、辻褄(つじつま)を合わせる、ということでもありますからね。それを面白おかしく表現するということが大切なんだけど、それで結果だけ見ると傍からみれば「?」なのかもしれないですね。
永井: ここ10年ほどを振り返っても、国の環境政策は二転三転した歴史があります。例えば、国による電力買取価格の変更によって、事業計画に大きな影響を受けた企業も少なくありません。日本環境設計は、翻弄されてしまったりはしなかったのでしょうか?
岩元: まったくなかったですね。私たちの事業は国の制度の上で展開するものではなく、自分たちで仕組みを作る、というものですから。自分たちが管理できる仕組みの中で、サービスの価値が生まれ、その対価をいただくことができる。それは持続可能なビジネスにもつながっていくと考えています。
永井: なるほど。人の育成など組織として工夫されていることはありますか?
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