コラム
ショーンKはいまだに世間を欺いている(1/3 ページ)
経歴詐称は、学位職位の万引き。多くの人々から、ほんのわずかの可能性を少しずつかすめ取ってきて、自分の私利私欲に資する。自分の可能性を奪われた人は、やつに奪われたことにすら気付かない。
著者プロフィール:純丘曜彰(すみおか・てるあき)
大阪芸術大学芸術学部芸術計画学科哲学教授。玉川大学文学部講師、東海大学総合経営学部准教授、ドイツ・グーテンベルク(マインツ)大学メディア学部客員教授を経て、現職に至る。専門は、芸術論、感性論、コンテンツビジネス論。自らも小説、作曲、デザインなどの創作を手掛ける。
経歴詐称は、学位職位の万引き。多くの人々から、ほんのわずかの可能性を少しずつかすめ取ってきて、自分の私利私欲に資する。自分の可能性を奪われた方は、もともと可能性にすぎず、それもわずかの差なものだから、やつに奪われたことにすら気付かない。
「経歴を詐称したと言ったって、誰も被害にあったわけじゃなし」なんて、世間に言わせてしまう。それどころか「あいつは悪くない。経歴偏重の世間が悪い」なんて言う同類まで出てくる。盗まれた被害そのものまでごまかしてしまうというのは、やはり天才的な悪人だ。
経歴詐称は万引きと同じ。やつの手口はこうだ。このやり方を繰り返せば、板チョコ1枚が永遠無限に食べられる。そして、こうして自分が1粒取っても、見ての通り何も減っていないのだから、何も盗んでいない、というのがやつの言い分。世間も、これにコロッとだまされる。
言うまでもなく、こんなことが成り立つわけがない。この図も、思いっきり拡大すると、インチキが分かる。じつは、つなぎ目の粒が、ほんのちょっとだけ寸足らずなのだ。複数の粒から、わずかずつかすめ取って1粒分を捻出しているだけ。
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