コラム
ショーンKはいまだに世間を欺いている(3/3 ページ)
経歴詐称は、学位職位の万引き。多くの人々から、ほんのわずかの可能性を少しずつかすめ取ってきて、自分の私利私欲に資する。自分の可能性を奪われた人は、やつに奪われたことにすら気付かない。
「どのみち、自分には関係がない」などと思うなかれ。こんなインチキ野郎がズルをしていなかったならば、どこかの本物のコンサルが代わってテレビタレントになり、どこかの銀行だか商社だかの部長が独立してコンサルになり、そこの課長が部長に昇格、君の会社の課長がそこへ転職、君の会社の係長が課長に昇格、そして、平社員が係長に、そして、君が就職を決めて正社員になれていたのかもしれない。ツケはつねに末端にまで回る。やつは、これらみんなの小さな夢、かすかな希望を喰いつぶし、横入りで成り上がったのだ。
縁故学生が会社に潜り込むのも、事務所のゴリ押しで面白くもないタレントが番組に入り込むのも、みんなこのやり方。本当なら、もっと別のしかるべき人物が、そのインチキ野郎の代わりに入るべきだった。だが、他人の可能性は奪っても、奪われた側は、しょせん可能性に過ぎなかったものでもあるし、自分の可能性が強引に奪われたことにまず気付かない。それも、ショーンKはその上澄みを、それぞれからほんの少しずつかすめ取るだけ。
ひょっとすると、ショーンK本人も、いまだに自分の何が悪だったのか分かっていないのかもしれない。この調子で、永遠無限に甘いチョコレートをむさぼれると思っていたのかもしれない。それにしても、だまされ盗まれてていながらヘラヘラ笑って、やつの擁護までしている人、いまだにやつにだまされ続けていることにいいかげん気付きなよ。(純丘曜彰)
関連記事
- ショーンKは本当に“いい人”なのか 嘘で成功した人たちの「共通点」
経歴詐称で世間を騒がしたショーンKを擁護する声があがっている。「いい人だ」「的確なコメントをしていた」といった意見が目立っているが、嘘で成功した人たちにはある“共通点”があるのでは。筆者の窪田氏によると……。 - “偏差値神話”は本当なのか 日大が早稲田をアゴで使うとき
「ウチの会社は頭の良い人が出世しやすいからなあ」と不満に感じたことがある人もいるだろう。ここでいう“頭”とは、偏差値の高い大学を卒業した人のこと。しかし本当に、頭の良い人の方が出世しやすいのだろうか。 - パクリ発見器が社会を変える!?
最新のヴロニプラーク・ウィキを使えば、過去の論文などの盗用が一発で暴き出される。図像や音楽についても、いずれ同様。電子書籍化が進めば、数十年、数百年も前のパクリまで、すべて世間にさらされることになるだろう。 - “今”を問えば度量が分かる
事業定義は、個人でも重要だ。しかし、仕事へのコミットメントの深さとスコープの広さは、必ずしも比例しない。気晴らしのほとんどは、スコープの遮断にすぎず、かえって自分を追い込んでしまう。今日と別に明日があるのではなく、ここと別に世界があるのではない。
関連リンク
Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.