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10万円でも即日完売 大人が使うランドセルはどのようにして生まれたのか(2/4 ページ)

大人向けのランドセルに関するニュースをここ最近よく耳にするようになった。その中でも、土屋鞄製造所の「OTONA RANDSEL」がいまスゴいことになっているという……。

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「特別な贈り物」に変わったランドセル

 同社は、1965年に創業者の土屋國男氏が個人事業主としてランドセルの製造・販売をスタートさせた。そこからの約30年間は、家族を中心に事業を運営してきたが、83年から法人化し、若手の採用も徐々に増やした。

 現在は、長野にも製造拠点を設け、専門販売店も東京、大阪、福岡、名古屋、仙台といった主要都市に置き、全国展開している。

 同社が50年近くランドセル作りを続けてこれた背景には「創業以来ずっと変えていないランドセルへのこだわりがあるから」だと語る。そのこだわりとは、上品さと丈夫さを兼ねそろえた“品格のあるランドセル”を作るということだ。

 着色や防水などの加工をほとんどぜず、自然な牛の革の状態を保った「ヌメ革」などの素材も用意し、作業工程では1つ1つを職人の手作りできめ細かく丁寧に作り上げる。

 「厳選した素材を使い、全て日本の職人の手で作ること。そうすることで上品さと品格のあるデザインに仕上げていく。これは、創業当初から変わらずにこだわってきたことです」(同)

photo 1つ1つ職人の手で丁寧に作り上げる(同)

 この変わらずに続けてきたスタンスが、次第に消費者ニーズとマッチしていくようになったという。どういうことか。

 同社は、昔と比べて親(消費者の)の視点が変化し、こだわり抜いてランドセルを選ぶようになってきたと説明する。1人っ子の世帯が増えるなど、昔よりも1世帯がもつ子どもの数が減ったことで、子ども1人に掛けられる金額が増えてきたことが要因に挙げられる。こうした時代の変化もあり、親(消費者)は子どもに与えるランドセルをより「特別な贈り物」として“より良いランドセル”にこだわるようになってきたのだ。

 「ランドセルは小学校への入学を祝う贈り物であり、卒業まで使ってもらうもの。できるだけ良いもの買ってあげたいという思いが親御様にはあります。最近では孫にランドセルを買ってあげたいという祖父母様も増えてきています」(同)

 自社で販売を行う同社では、スタッフや職人が品質へのこだわりについてお客さんに詳しく説明することができ、また、工房の見学スペースもあるので、職人の手で1つ1つ丁寧に作られていることも見て分かる。それにより、同社のランドセルの評判は次第に母親の口コミなどで徐々に広まるようになったという。

photo 工房を見学する親子(同)

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