あなたの“願い”はかなう? 世界初の「人工流れ星」に驚き:水曜インタビュー劇場(流れ星公演)(2/7 ページ)
2018年、人の手で流れ星が流れるかもしれない――。こんな話を聞くと「本当に?」と思われるかもしれないが、宇宙ベンチャーの「ALE(エール)」が開発しているという。「人工流れ星」とは、一体どんなモノなのか。岡島CEOに話を聞いた。
人工流れ星の仕組み
土肥: 岡島さんは人工流れ星をつくられているそうですが、これはどういった仕組みなのでしょうか?
岡島: 自然の流れ星は、小さなチリが大気圏に突入して、明るい光(プラズマ発光)を放ちながら燃えているのですが、私たちがつくろうとしているモノも、基本的に同じプロセスなんですよね。流れ星の素材となる、軽い特殊な金属の玉、私たちは「流星源」と呼んでいますが、この流星源を搭載した人工衛星を打ち上げて、宇宙空間にそれをポンポンと発射するんですよ。流星源は地球を約3分の1周してから、大気圏に突入。明るい光を放ちながら燃焼し、流れ星となっていきます。
流れ星は上空60〜80キロメートルを飛び、輝きながら燃え尽きるのですが、地上では直径200キロメートル圏内から見ることができるんです。関東圏で試算すると、約3500万人の人たちが同時に流れ星を楽しむことができるのではないでしょうか。
土肥: 実証実験を何度も行われているそうですが、苦労した点は?
岡島: どうすれば明るくすることができるのか。この点は苦労しました。学校の授業でも教わったかと思いますが、人間の肉眼で見えるのは6等星まで。数が小さくなればなるほど、マイナスになればなるほど、明るいんですよね。例えば、満月は-12.7等星、太陽は-26.7等星。
実験を始めたころ、人工流れ星の明るさは3等星くらいでして、北極星(2等星)よりも暗い。「もっと明るくすることはできないかなあ。なにかいい素材はないかなあ」と思っていたら、流れ星を研究されている大学の先生が「僕だったらもっと明るくすることができるよ」と言っていただき、このプロジェクトに参加してもらうことに。
先生からのアイデアをいただき、さまざまな工夫を凝らしたところ、3等星から0等星になったんですよ。さらに、改良を加えたところ-1等星になりました。都会の夜空で、最も明るく輝いて見えるのはシリウス。シリウスの明るさは-1.5等星なので、私たちがつくっている人工流れ星も夜空で十分に見えるんですよね。
土肥: そうすることよって自然の流れ星よりも明るくなった?
岡島: はい。
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