ミャンマーの「女帝」アウンサンスーチーはなぜ嫌われるのか:世界を読み解くニュース・サロン(2/5 ページ)
ミャンマーで新政権が発足し、世界中で大きな話題になった。民主活動家・アウンサンスーチー率いる国民民主連盟(NLD)が与党になったわけだが、ここにきて彼女を非難する声があがっている。なぜなら……。
スーチーの“種差別的な一言”とは何か
著名運動を行うサイト「Change.org」で今行なわれている署名キャンペーンの目的は、スーチーのノーベル平和賞(1991年)を取り消せというもの。3月28日にイスラム教国インドネシアに暮らす約120人が発起人となって始まったこのキャンペーンは、4月4日現在、5万人以上の署名が集まっており、7万5000人に達するとノルウェーのノーベル委員会に署名が送られるという。もちろんそれでノーベル賞が剥奪されることはないだろうが、彼らの主張が世界で知られる助けにはなる。
コメント欄を見ると、インドネシア、米国、英国、カナダ、オーストラリア、オランダ、タイ、インド、バングラデシュ、サウジアラビ、UAEなど世界各地の人が集まっているのが分かる。一方、ミャンマーからは「こういうキャンペーンはさらにミャンマー国内に紛争をもたらす」といった否定的なコメントも見られる。
このキャンペーンは、スーチーにこう問いかけている。「民主化運動の星として、あなたの“人種差別的な一言”は余計だった。思想の違いを尊重する民主主義の価値観を破壊している」
スーチーの“種差別的な一言”とは何か。英BBCは2013年、下院議員となっていたスーチーに、単独インタビューを行った。そこでノーベル平和賞受賞者のスーチーは多くの視聴者を失望させるような発言をしたのである。
まず簡単に背景を説明すると、ミャンマーには「ロヒンギャ族」と呼ばれるイスラム教徒が暮らす。人口5300万ほどのミャンマーは国民の9割が仏教徒という国家であり、人口100万人ほどのロヒンギャ族は西部に暮らしている。彼らは国内に存在する130ほどの少数民族の1つだが、ミャンマー政府は彼らを国民だと認めていない。そしてロヒンギャ族の多くは迫害を逃れるため、ボートなどで国外に脱出を試みているが、周辺国も彼らの受け入れを拒否するなどして国際的な問題になっている。
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