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鴻海からの“心遣い”を、シャープはどう受けとめたのか:水と油は交わるか(5/6 ページ)
台湾の鴻海によるシャープ買収決定後に開かれた共同会見において、鴻海・郭会長兼CEOはシャープのイノベーターとしての歴史をべた褒め。ところが、両社の経営に対する基本姿勢はまるで異なるものなのである。
入社式で高橋社長が反省の弁
鴻海との共同会見が行われる前日の4月1日、シャープの高橋社長は、奈良県天理市のシャープ総合開発センターで、2016年度入社式に出席。121人の新入社員を迎えた。
その場で高橋社長は、新入社員に向けて、「新しい仲間として皆さんを迎えることができ、大変嬉しい」と語った後、「私は、社長になって、経営理念や経営信条を読み返して、それを自分が理解できていなかったことに気付いた。経営理念は、『いたずらに規模のみを追わず』と始まる。この経営理念を実践できなかったことが、当社が経営危機に陥った原因の1つ。皆さんも、これを読み返し、創業者の理念に近づけるようにしてほしい」と呼び掛けた。
入社式で社長が反省の弁を述べるのは異例だ。だが、高橋社長が言及するように、シャープは、やみくもに規模を追ったことが、経営悪化への道に進むきっかけになった。
液晶パネルへの過剰投資はその最たるものだ。シャープをはじめとして、19社が参加したグリーンフロント堺への投資額は1兆円規模ともいわれている。グリーンフロント堺が稼働した2009年当時、売上高3兆円前後のシャープにとっては、あまりも莫大な投資だった。いみじくも、経営理念に反して、規模を追ったことが、シャープの衰退につながったというわけだ。
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