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鴻海からの“心遣い”を、シャープはどう受けとめたのか:水と油は交わるか(4/6 ページ)
台湾の鴻海によるシャープ買収決定後に開かれた共同会見において、鴻海・郭会長兼CEOはシャープのイノベーターとしての歴史をべた褒め。ところが、両社の経営に対する基本姿勢はまるで異なるものなのである。
早川氏に対して、敬意を表した郭会長兼CEOだが、経営に対する基本姿勢は、早川氏と郭氏では、180度違う。
早川氏の経営に対する考え方を言葉にしたシャープの経営理念は、「いたずらに規模のみを追わず、誠意と独自の技術をもって広く世界の文化と福祉の向上に貢献する」といった言葉で始まる。
それを示す過去のエピソードがある。1970年に開催された大阪万博出展に関してだ。国家的プロジェクトである万博の誘致には関西経済界を挙げて取り組み、シャープもその一翼を担っていた。注目を集めるパビリオンを設置することで、同社の認知を高めることが見込まれた。
ところが、時を同じくして、奈良県天理市に新たな半導体工場のほか、中央研究所、商品開発センターなどの設置を計画していたのである。
将来に向けた投資を優先すべきか、それとも大阪万博に出展するのか――。悩み抜いた結果、厳しい企業競争に打ち勝つには、他社にない独自のデバイスを自社生産し、他社が真似できない商品を作るべきで、半年で取り壊すパビリオンよりも、企業体質の強化を優先するという決断を下した。
その結果、シャープは、吹田市の「千里」丘陵で開催される大阪万博に出展しないことを決め、「天理」に予定される総合開発センターへの投資を決定した。「千里から天理へ」。この決断はそう呼ばれている。
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