いま各社が動画配信ビジネスに夢中になるワケ:西田宗千佳のニュース深堀り(3/4 ページ)
いま、動画配信ビジネスが過熱している――。各企業が動画に乗り出すのはなぜか? キーワードは「スマートフォン」と「若者」だ。
小さいがゆえに制約も少ない、「ゆるさ」がメディアの価値になる
ネット系映像メディアの特徴は「コストの低さ」と「制約の小ささ」に集約できる。正確にいえば、「小さな規模であるがゆえの自由度」ということなのだが。
ネット配信では、テレビと違い、多数のスタッフや機材を使った製作体制がとられない場合が多い。それはコストを低く抑えることが主眼だが、小回りが利く体制にする、ということもある。
マスメディアは制約が多い。表現上「事なきをよしとする」部分が強くなっているし、毎日タイムテーブルに沿って確実に出していくには、トラブルは避けねばならないし、枠をはみ出た放送は、時間的にも内容的にも厳しい。
一方ネットは、少なくとも「時間」の制約は小さい。放送は電波の枠が決まっており、それをタイムテーブルで分割しているから「尺」は絶対守らねばならないが、ネット配信はそうではない。サイバーエージェント・藤田社長は、「テレビ朝日から出向でやってきた人々が、時間の制約がゆるい環境で、新しいクリエイティビティを刺激されているようだ」と話す。バラエティやニュースのような番組ももちろんだが、ドラマでも、「どこでCMが入るか」「どこで盛り上げるか」「最終的な尺がぴったりと決まっているか」が自由であるなら、作り方は大きく変わる。
また、作る側・流す側が見る人々の属性をある程度把握できるので、その視聴者に特化した、より踏み込んだ作品を作ることもできる。世界的には、Netflixなどの有料配信で、こうした「新しい自由度」を生かした作品が生まれ、ヒットにつながっている。
そして、ネット配信では、テレビとは違う人々をフィーチャーすることもある。特にLINE LIVEはここに注力しており、テレビで人気であることよりも、10代の支持を得ていることを軸に番組を組み立てている。スマートフォンにはスマートフォンにあった世代の番組があり、そういう作り方をするのが良い、と考えているためだ。
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